豚が一匹増えました

21話 ページ21

フゥー、と煙を吐き出すとペンを置いてこちらを見てくるコイツは、多分タバコが嫌いだからそうしてるわけではないのだろう。左手にタバコを持ったまま机のルーズリーフを取り上げる。ん、上達してるみたいやな。
偉い偉いと頭をなでてやれば心なしか嬉しそうにする。ホンマに変な奴やなあ。
どことなく愛嬌があるような気もするが俺が二本目を取り出すと取り上げようとするからやっぱり可愛くない。



「コネシマ。」

おうグルッペン、豚まん大分字うまなったで。俺の教育の賜物やな！

「せやな。この前はコイツが告げ口お陰でトン氏に怒られた。」

なんて？

「マスターキー豚まんに横流しするのはやめろ。だそうだ。」

そら怒るわ。

「面白いと思うんだがなあ。」

ドア開けて部屋暗い中でこいつ見たら割りとホラーやん。ひとらんとかの部屋におったら殺られるで。と言うとグルッペンは、あー…。なんて言いつつ目をそらした。
うん。ひとらんはガチの怖がりやけど怖がり方がヤバイ。アイツの周囲の物が尽く両断されるくらいにはヤバイ。


そんなやり取りをしていたらガチャリ、とドアが開いた。いたのは兄さんでどこか疲れたような顔をしている。


おう兄さんもう帰ってきたんか！お疲れ！

「兄さん、どうしたんだ。戻ってくるのは明後日だった筈だろう？」

「あー…、それが、向こうでテロリスト共に襲われてな。俺はなんとか向こうの軍に助けてもらえたんやけど一緒に連れてった奴らは何人かやられたんや。それて、報告しよ思ってグルッペン探してたんよ。」

はぁー、災難やったな。まあ、兄さんが無事そうで良かったわ。

「ああ。それなら兄さん、報告は明後日でいい。今日明日はゆっくり休め。」

「ん、ありがとな。」


ほな、またな。と言って兄さんは出ていった。グルッペンもそれに続いて出ていく。
つまらん。豚まん相手やとレスポンスがないから独り言になってしまう。
それにしても、


兄さんってあんな訛っとったっけ？


豚まんは首を傾げるだけやった。やっぱりつまらん。
キャス吸うか。

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