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17話 ページ17

他国への視察および兵器の輸入のため長らく離れていた本部へ帰ったその日の翌日、俺はエーミールに呼び出された。部屋に入ればふわりと古書と珈琲の匂いが鼻を抜ける。前に見た時と微塵も変わっていないその優雅な佇まいでエーミールは笑った。


『急に来てもらって悪かったね。』

いえ、昨日はゆっくりさせてもらったんで大丈夫です。

『それは良かった。珈琲と紅茶、どちらにしようか。』

珈琲で。

『砂糖とミルクは要らないんだったかな?』

はい。


促されて席につけば、彼は奥の壁についている二つの扉のうち右の方を開けてその中へ入っていった。左の扉は書庫への扉だ。
することもなく手持ち無沙汰なので首元のストールをクルクルと弄んでいたら背後のからカタリと音がした。
居たのはロングコートにやたらと長いマフラーをした豚頭だった。何やこの人。


『おや、豚まん君も来たんだね。』

知り合いですか?

『グルッペンが新しく連れてきた子だよ。』

へぇ。


この豚頭が。見てくれからして不審者だがこの組織には不審者どころか狂人が多数いるのでまあそんなモンなのだろう。それにしてもこのタイプの変人は初めて見る。


『生き物をパッチワークを用いて直すことができるんだ。』

はい?

『ちなみにその豚頭は被り物じゃなくて本物だよ。』


訂正。どうやら人じゃなかったらしい。嘘やろ。
俺に疑惑の目線を向けられているソイツはこちらを見返すと、丁寧に礼をしてきた。


『何か用があるのかい?』


エーミールの問いかけにソイツはポケットからガサリと書類の束を取り出した。
いや明らかにポケットに入る量じゃないやろ。どういうことだ。


『ああ、あの本の翻訳だね。ありがとう。オスマンにもお礼を言っておいてくれると嬉しいよ。』


エーミールが頭を撫でて机のガラス瓶に入ったキャンディを渡すとソイツは心なしか上機嫌に帰っていった。


『まあ、とにかく座って珈琲を飲もう。君も少し混乱しているだろうし、話はブレイクタイムのあとでも構わないからね。』


俺はその言葉に甘えることにした。


************************************
我々のポストについて
グルッペン:総統、最高権力者
トントン:書記長、右腕
鬱先生:情報管理室長
ロボロ:情報管理室副室長、諜報部隊長
オスマン:第一外交官
ひとらんらん:白兵部隊長
コネシマ:陸軍第一部隊長
シャオロン:海軍第一部隊長
ゾム:特殊部隊長
エーミール:相談役
兄さん:第二外交官
しんぺい神:幹部専用軍医

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紫苑(プロフ) - 人間の登場人物達のことは知りませんが、SCPの力を目の当たりにして良く置いておこうという気持ちになりましたねw (2018年7月14日 21時) (レス) id: 3603310884 (このIDを非表示/違反報告)
夜猫 - やったねトントン!(豚の)仲間が増えたよ! (2018年2月14日 6時) (レス) id: c27b932811 (このIDを非表示/違反報告)
国民 - SCPも我々だも大好きなので最高です。とっても面白くて続きが気になります!更新頑張って下さい笑 (2017年11月20日 21時) (レス) id: 7a0b0fb690 (このIDを非表示/違反報告)
学生APR(プロフ) - SCP×wrwrdいいですね!おもしろかったです!SCPのクマさんシリーズめっちゃ好きです!これからも楽しみにしてます! (2017年11月16日 2時) (レス) id: b7d000d60d (このIDを非表示/違反報告)
あづち(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!不思議な感じがしてめちゃくちゃ好きです!!夢主も夢主の周りもどうなっていくのかとても気になります!更新頑張って下さい!! (2017年11月15日 17時) (レス) id: b9233c7e2a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:抹茶 | 作成日時:2017年9月23日 1時

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