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12話 ページ12

なるほど。遊びで連れてきたことにすれば、彼等からもそういうものとして扱われる、という事だね。

「ああ。初めから"仲間"として扱うと警戒されすぎるからな。」



俺もその辺りは考えてるゾ、とご機嫌に言った彼は角砂糖をカップに放り込んだ。
確かこれで四つ目だったはずだ。糖分の多量摂取はあまり体に良くないのだけど。



でも、彼等に教えていない事を私に教えてしまっていいのかい?私も、曲がりなりにも幹部の一員だよ。

「エミル氏は変わった"もの"だとか"事"だとかも知っているだろう?というか、持っているだろう。」

ゆかり君のことを言っているのなら、彼女は私が所有していると言うよりも私のところに居着いていると言った方が正しいね。彼女は本が好きだから。


ゆかり君は私の助手兼教え子のようなもので、本の中にいる。
様々な本の置いてある書庫が気に入ったそうだが頭はあんまりよろしくないらしく、よく私に教えを請う為に自分の入っている本を落として主張してくるお転婆娘だ。
それに比べると、目の前の彼は頭は良いがする事ははっちゃけているね。
などと少しばかり失礼なことを考えていたら彼がまた話し始めた。


「そうだったな。それでエミル氏、豚まんについて何か心当たりは無いか?」

ふむ。ぱっと思いつくようなものは無いね。書庫を漁れば豚まん、性別は分からないしないのかもしれないけれど便宜上"彼女"と呼ばせてもらうよ、と似たような性質のナニカについての記述も見つかるかもしれないね。

「そうか。ありがとうエミル氏。何かわかったら教えてくれ。」

わかった。

「それじゃあ、お邪魔して悪かったな。また来るゾ。」



そう言って彼は出ていってしまった。
朝食を食べ終わったと思ったら彼が来て少し驚いてしまったけれど、面白い話が聞けた。傍らに置いた日記帳を開き、サラサラと先程の会話を書き記していくと、手帳に私が書いているもの以外の文字が浮かび上がってきた。


『もしかしてこの豚まんって子について、ワタシに調べらせる気ですか?』

私が探すよりも君が探す方が早いからね。頼りにしているよ。

『む、そう言われちゃったら仕方ないですね!このゆかりちゃんがバッチリ調べて差し上げます!』

よろしく頼むよ。


と書いた所で日記帳を書庫の棚に入れる。
こうしておけば後はこの優秀な助手がある程度絞り込んでくれるはずだ。
そうとなれば私は、もともと頼まれていたトントン君の書類を手伝いに行かなくてはね。

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紫苑(プロフ) - 人間の登場人物達のことは知りませんが、SCPの力を目の当たりにして良く置いておこうという気持ちになりましたねw (2018年7月14日 21時) (レス) id: 3603310884 (このIDを非表示/違反報告)
夜猫 - やったねトントン!(豚の)仲間が増えたよ! (2018年2月14日 6時) (レス) id: c27b932811 (このIDを非表示/違反報告)
国民 - SCPも我々だも大好きなので最高です。とっても面白くて続きが気になります!更新頑張って下さい笑 (2017年11月20日 21時) (レス) id: 7a0b0fb690 (このIDを非表示/違反報告)
学生APR(プロフ) - SCP×wrwrdいいですね!おもしろかったです!SCPのクマさんシリーズめっちゃ好きです!これからも楽しみにしてます! (2017年11月16日 2時) (レス) id: b7d000d60d (このIDを非表示/違反報告)
あづち(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!不思議な感じがしてめちゃくちゃ好きです!!夢主も夢主の周りもどうなっていくのかとても気になります!更新頑張って下さい!! (2017年11月15日 17時) (レス) id: b9233c7e2a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:抹茶 | 作成日時:2017年9月23日 1時

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