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「ドンヒョクのせい」
俺はヌナの涙が好きだった。
ヌナが俺に見せる涙は、俺を愛してくれていると実感出来る唯一の根拠のように思えて。
彼女の唯一の汚点が、彼女の身から消え去っている事に気付いた瞬間は、自分でもよく分からないところから鳥肌が立った。
本当に、もうすぐで手が届くと言われているようで。
本当に、俺のものになりたいと言われているようで。
それも、彼女自身によっての隠しメッセージのように。
指輪は突如、後味を残して彼女の指から離れた。
その赤いかぶれは、ヌナから離れたくなかったというせめてものダイニングメッセージのように感じた。
でも俺は、いち早く真っ白で綺麗な指を見てみたくて仕方なかった。
誰にも縛られない、デフォルトのうぶな指に早く戻って欲しくて仕方なかった。
彼女が、もう一度指輪を付け直すと言う時が来るのに怯えて。
『マクヒョン今頃泣いてんじゃない？ヌナそんなことしたこと無いでしょ？』
そう言うと、俺とシーツの間に寝転がるヌナから無言で手が伸びてきたから唇で迎えてそれに応えた。
まだ風呂にも入ってない、朝着たままの二人のシャツが擦れ合う音がなんだか情欲的で、身体が疼いた。
ヌナのその表情は、薄情者そのものだった。
でも俺は、その薄情さが気持ちよかった。
唇を拾いながらヌナの左手に指を絡めると、いつもの冷たいものが見当たらなくて、ヌナにはバレないように笑みを零した。
俺にとって冷たい金属のソレは、蛇足でしかなかった。
ヌナにソレを嵌めたところで、今ヌナはこうして彼ではなく、俺の家に来ている。
ソレの差出人の意志を顧みずに。
『悪い女』
俺のシャツのボタンに触れる彼女にそう告げると、
「嫌い？」と、俺の緩ませたネクタイをつかみ、もう一度俺の唇を引き寄せるそんなヌナに、俺はもうお手上げだった。
俺はそんな無責任で、
目茶苦茶で、
投げっ放しで、
常に乱れているヌナに翻弄されるこの感覚が、好きで堪らなかった。
「おねがい、」
ヌナは俺が悪いと言うけど
俺を好きになったヌナが、
俺を好きにさせたヌナが、
俺をここまで堕としたヌナが悪かった。
俺の唇、ヌナの唇、地獄の果て。
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かげろう(プロフ) - みさん» コメントありがとうございます。シリアスめなものを書くのは初めてなので、ちゃんと皆さんに満足して頂けているか心配だったんです…泣本当に嬉しいお言葉ありがとうございます。小説は、幼い頃から全く手につかないんです。毎回文字で酔ってしまって…笑 (1月1日 5時) (
レス) @page10 id: 78c5f6ccc2 (このIDを非表示/違反報告)
み - 素敵、日頃から小説を読まれたりするんでしょうか？何年ぶりか占ツクを覗いてみたらこんな素敵な作者様に出会えて感動。更新楽しみにしてます (12月30日 3時) (レス) @page10 id: af8ac8d205 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かげろう | 作成日時：2023年12月19日 3時
