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「指輪、やめたの？」
君が「やめたのか」と語るその指輪とは、ちょうど一年前に“あの人”からもらった指輪のこと。
一度は行ってみたい、と私が随分と前から彼に促していたあのレストラン。
高層階から望む絶景の夜景が一番の魅力とされているあのレストランで、“あの人”からもらった指輪のこと。
その店は中々予約が取れない店だと言うのは私が一番わかっていたから、彼が運転する車がその店に向かっていると分かった時は第一声に、
「いつから予約してたの？」なんて可愛げが無い言葉が咄嗟に出た。
するとあの人が、
「それって重要なの？笑」といつもの様にケラケラと笑う横顔を助手席から見て、私も釣られて同じように笑ったその瞬間を今もよく覚えている。幸せだった。
中央から端にまでたくさんのテーブルが並ぶ中、ガラスの側面側のテーブルへとエスコートされた時は、あの人らしい粋な計らいだなと思った。
着席するや否や、
「Aがここに来たいって言ってた時にはね、もう俺予約取ってたんだよ。」なんて言いながら、私をここへ連れてくるのがずっと楽しみだったと語ってくれた。
どうしてもいつかここへ連れてきて欲しくて、何度も何度もさりげなく促した私だったけど、まさかそんな序盤の方で、と度肝を抜かれた。
今思い返せば、私の促しが回数を積んできた頃には、あの人は軽く笑いながら「そうだね、いつか行こうね、」と顔を緩ませながら私の頭を撫でる限りだった。
あの人の色んな計らい全てが、あの人らしかった。
『うん、色々あって、ね』
私は当時、愛する人からもらった指輪から一瞬たりとも離れたくなくて、いついかなる時も指に嵌めたままにしていた。
私はその指輪を、あの人との愛が唯一形として残るものだと思っていたから、
まるで私の本体はこの身体ではなくその指輪です、とでも言えるほどに、私はその指輪に依存していて。
それ故に、今私の左手の薬指は、少し赤くかぶれてしまっている。
そして‘’君‘’は今、私の薬指のそこの部分をピンポイントにゆっくり指の腹で触れている。
「俺のせい？」
あぁそうだ、君のせいだよ
『全部ドンヒョクのせい』
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かげろう(プロフ) - みさん» コメントありがとうございます。シリアスめなものを書くのは初めてなので、ちゃんと皆さんに満足して頂けているか心配だったんです…泣本当に嬉しいお言葉ありがとうございます。小説は、幼い頃から全く手につかないんです。毎回文字で酔ってしまって…笑 (1月1日 5時) (
レス) @page10 id: 78c5f6ccc2 (このIDを非表示/違反報告)
み - 素敵、日頃から小説を読まれたりするんでしょうか？何年ぶりか占ツクを覗いてみたらこんな素敵な作者様に出会えて感動。更新楽しみにしてます (12月30日 3時) (レス) @page10 id: af8ac8d205 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かげろう | 作成日時：2023年12月19日 3時
