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近づいていくにつれてイジェノの後ろ姿と、今すぐにでも泣き出しそうで、でも怒りと不満が葛藤した表情をしているユナちゃんの姿の解像度が上がっていく。
そして場所が場所だから、少なくは無い通行人達が目に見えてわかる修羅場に二度三度振り返る。
「ねえジェノくん、聞いてる？」
JN「聞いてるよ」
遠くからは声の高いユナちゃんの声しか耳に届かなかったけど、近づいていくと覇気のない低い声も耳に届くようになった。
次第に彼女は視線を下に落とし、涙を拭い鼻をすする声を響かせた。
彼はもうこんなのは慣れっこなのだろうか。
毎日多方面から向けられる好意について彼がどう思っているのかは知らないけど、その後ろ姿からは少なくとも、この話し合いに真剣に向き合いたいという覇気は感じられない。
そしてやっとの思いでみんなと同じように見て見ぬふりをして二人の横をそっと通り過ぎた時、やっぱり自分もやむを得なくもう一度振り返って二人を見届けた。
ついに露となったイジェノの表情は結論、とっても物臭で、目の前で涙を流す彼女をぼーっと見つめていた。
すると、イジェノの表情を一目観察出来れば用済みだったものの、イジェノがふとこちらに向けた視線が私と絡まってしまい、恐れていた事が現実になってしまった。
前代未聞の気まずい出来事に、手を振ろうか、そのまま立ち去ろうか、策を考えていると、彼はまたいつもの嘘みたいな柔らかい笑顔を向けて見せた。
それはまるで“気にしないで”とでも言いたげな表情だった。
そんな彼にどう反応すればいいかなんて検討も付かなくて、私は咄嗟に目を逸らして、早歩きになりながら職員室へ急いだ。
二人を後にして、後ろから聞こえてくるのはやっぱり彼女が鼻をすする音だけ。
そうだ、彼は彼なりの事情があるが、私も私なりの事情がある。
他人に関与してる暇なんて今の自分には到底ないことを思い出した。
はやくパク先生のところへ行って問題を消火させてさっさと帰ろう。
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かげろう(プロフ) - mitarashiさん» コメントありがとうございます！学生ヘチャン良いですよね…泣嬉しいお言葉ありがとうございます。こっちも執筆できるように頑張りますね。 (12月20日 23時) (
レス) id: 78c5f6ccc2 (このIDを非表示/違反報告)
mitarashi(プロフ) - 初めまして！この作品のヘチャン凄く好みです！！笑 (12月20日 1時) (レス) @page29 id: b26963397b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かげろう | 作成日時：2023年7月23日 0時
