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Ryuto side
「あ」
ふと時計をみるとHRの5分前
「作間くん、HR！」
先生のせかす声に押されてプールサイドを飛び出す
「じゃ、またあとで」
そう言って先生に手を振りながら
走り込んだ教室にはもうクラスメイトのほぼほぼが集まっていて
それぞれ友達と話したり
宿題を見せ合ったりしている
まだ神崎先生は来てないのだ
席について
今日、まだ何も手を付けていない課題を鞄から取り出す
そして、イヤホンを付けようとしたとき、
前の席の三上さんが俺の机をノックした
きょとんとしながら三上さんの顔を見る
すると三上さんは、俺の制服のズボンを指さしながら言う
「作間くん、制服のズボンの裾、濡れているけれどどうしたの？」
なんで俺はこの時、
先生のプール掃除を手伝った、と言えなかったのか
俺だけが知っている先生の姿を誰にも教えたくなかったのか
それとも
自分がもつこの名前のない感情を誰にも悟られたくなかったのか
たぶん
どっちもで…
「ちょっとね」
そう言ってイヤホンを付けた
だからか
三上さんがきゅっと口を結んだのを
俺は見ていなかった
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作者名：ポップコーン | 作成日時：2019年1月27日 16時
