急に、死んでもいいわ、だなんて。Ⅱ (ページ30)

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You side

それからか

「お前、仕事何時おわりそうなの」

そう昼間に瑞稀からLINEがくるようになったのは

「遅い」

と返すと

「何時」

と返ってきて

「早い」

と返すと

「真っすぐ家帰れよ」

と返ってくる

だから

「遅い」

と返信した時には

「ちょ、なにしてんの」

最寄り駅近くのコンビニの前のガードレールで寄り掛かっているそいつは

「明日の朝飯の買い出し」

と深々と被ったハットを少し上げて答えるんだ

コンビにの店内で

「まだコンフレーク残ってたじゃんか」

そう私が言うけれど

「別のコンフレーク買いに来たんだよ」

とコンフレークの棚の前で品定めを始める瑞稀

いつも買っているコンフレークとそんなに変わらないその商品を持ってレジに行く

そして

「ちょっとこれ持ってろ」

そう言って私にケータイを持たせて財布を出す瑞稀

そんな瑞稀を見て

「あ、ねぇ、今日くらい出させて」

そう言うけれど

「いいから、俺のケータイ落とすなよ」

と言う瑞稀

伝わりにくいこの人の優しさが分からないくらいには私は子どもじゃない

だから

だから

この優しさを失わないためには…

「私、20分くらいしてからマンション入るから」

そう、あなたの側にいすぎないように大人にならなきゃいけないのに

「外、寒いから。俺が後から入るから」

そう言うあなたから離れられないでいるんだ。