急に、死んでもいいわ、だなんて。Ⅱ (ページ26)

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Mizuki side

それなのに

ずっと笑っていてほしいのに

「信じらんないよね」

そう白いカクテルを揺らしているAを迎えに来たのは舞台も千秋楽が見え始めていた
11月の終わりだった

舞台終わりにケータイを開くと
あのバーのマスターから「もし時間があれば迎えに来てください」と留守番電話がはいっていた

マネージャーに家の近くで車を下ろしてもらいバーに走る

ドアを開けるとカウンターで

「私と別れて3か月ちょっとでって」

そう泣いているAがすぐに目に入った

「この飲んだくれ」

そう言おうと思っていた言葉はいずこへ

「体に悪いから」

そう言ってAの手にあったフローズン・マルガリータを遠くに置いた

すると
ポツポツとAは話し出した

Aについていたアシスタントの子が寿退社することになったらしい

そこまではよかった

だが、その相手が…そう、浩介さんだったらしい

「絶対だぶっていたよね」

乾いたように笑うA

たぶん確実にだぶっていただろう
でも、そんなこのストレートに言えない

何も言わない俺に言葉を続けるA

「品定めされてたってこと、そんで私は浩介より仕事を取る女だから捨てられたってこと」

そうAは自分で自分を傷つけるような言葉を放つから