検索窓
今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:105,496 hit

11 ページ11

手越さんが静かに言う。
「この先輩と出会うのも決めてたよ、Aちゃん」
「え!」
「櫻井さんとはもうずーっと一緒の予定だったんだよ。Aちゃんが一番の弟子だもん。スーパーエリート櫻井さんが出世するたびに一緒に引っ張り上げられる」
「は?」
「ちなみに前世ではね、Aちゃんのお兄ちゃんだったよ。櫻井さん」
「え!櫻井先輩と前世でも出会ってたの!」
「今世でかかわりのある人はだいたいそうだよ。ホラ、Aちゃんの今の彼氏も、前前前世から毎回恋人じゃん?」
「嘘……」
「嘘じゃないよ。毎回よく見つけるよね、お互いに」


あははって笑う手越さんを見上げたら、いつの間にか近所の川にかかる橋の上にいた。
あたりは真っ暗。




私が溺れて流された場所のはずなのに、懐かしくて、あったかい気持ちになる。


「なんか、ここにいると、なんだかすっごくいい気持ち」
「そう。みんながお花供えてくれてるからね。Aちゃんのために」

手越さんが指差す先を見ると、私が川に入る前に靴を脱いだところらへんに、たくさんお花が供えてある。お菓子や飲み物もいっぱい。
誰かがしゃがんで手を合わせているのが暗がりに見える。



想いは、祈りは、ちゃんと届くんだ。
優しいお花と私の心に寄り添うみたいな祈りに、あたたかい気持ちになる。


しゃがんで手を合わせていた人がすうっと立つ。そのシルエットが懐かしくて目を凝らす。



「………シゲ」

シゲが立ったまま、しばらく川を見つめてる。


「……A?」

名前を呼ばれてびっくりする。
聞こえたの?
でも川に向かって言ってるように見えるんだけど。



複雑な気持ちで横顔を見つめる。
しばらく前から会ってなかったし連絡もとれなかったじゃない。
私のことなんかどうでもよさそうだったじゃない。すきな期間はとっくに過ぎてたじゃない。

12→←10



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (259 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
222人がお気に入り
設定タグ:NEWS , 加藤シゲアキ , じぇにー   
作品ジャンル:ファンタジー
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ゆっちゃん - もうスッゴい感動です!いつの間にか涙腺崩壊してました(;つД`)またこのような作品が読みたいです! (2018年4月27日 0時) (レス) id: 690f139b43 (このIDを非表示/違反報告)
LOVE - 超感動で泣いてしまいました。マジ感動作。今回みたいな感動作また作ってください! (2017年3月31日 0時) (レス) id: 3e63f40173 (このIDを非表示/違反報告)
chi(プロフ) - 泣きました。そして話の中でのことすごく分かります。友だちに話の内容的なことを言われたばかりでした。すごい!と驚きました。 (2017年2月20日 0時) (レス) id: f8c9543924 (このIDを非表示/違反報告)
有咲(プロフ) - 初めまして。もう、毎回じぇにーさんにはキュンキュンさせてもらっているか、涙腺崩壊させてもらってます。遠回しな恋物語、なかなかくっつけさせない感じ大好きです♪これからも、頑張ってください!! (2017年1月8日 16時) (レス) id: fd3021356a (このIDを非表示/違反報告)
杏離サマ/@ラ(プロフ) - はじめまして。すっごい感動していつの間にかぼろぼろ泣いてました。次の作品も楽しみにしてます! (2016年12月18日 10時) (レス) id: bb5adfcd27 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:◯じぇにー◯ | 作成日時:2016年12月8日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。