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私ってなんのために生きてるんだろう。
世界にひとりぼっちだなぁ。
って思う。
もしもきっと今私がぽかっと消えてしまっても、世界はなんの変化もなく、このままゆるゆると流れていくんだろう。
恋愛も仕事も、何もかもうまくいっていなかった私は、なんとなく来る日々を暮らしていただけで、毎日きちんと決まった時間に明日が来るのをうらめしいとさえ思っていた。
来なければ来ないでいいのに。
明日なんか。
出版社に勤めるサラリーマンの彼氏とは、もう落ちる寸前の線香花火みたいで、いつおっこちて火が消えてもおかしくない。
もともと趣味がいっぱいあって、仕事も忙しかったから、しょっちゅうデートできたわけじゃなかったけど。会っても一緒に部屋で過ごすだけだったけど。
ここ最近、あまりに会えなすぎる。
そして何せ連絡がとれない。
メッセージはほぼ既読無視。
コールバックは10回に1回。
何度かシゲの家に行ってみたけど、合鍵のない私にはインターホンを押してじっと待つ以外できなかった。待っても何の反応もなかった。
合鍵持ってて知らない女と鉢合わせるのとどっちがいいだろう。
って思ったりして。
なんで付き合ってんだろう?
ていうかこれ付き合ってるって言うのか?
付き合い始めた頃は本当に幸せだったんだけどな。
出会った瞬間、初めて会った気がしなかった。
たまたま飲み屋さんで会った、友達の同期だったシゲと恋に落ちるのに時間はかからなかった。
うるうるした黒目が揺れながら私をチラッて見るのを見て、なんだか懐かしくて。
初めて会ったのにね。
初めて2人きりでごはん食べた帰り道、送ってくれたシゲがうちの前で「おやすみ」って抱きしめてくれた時、「ああ、見つけた」って理屈を何もかも飛び越えて涙が出たくらい。
丸い指先が私の涙をそーっと拭って、「泣かないの」って低い声が聞こえたとき、苦しくて切なくて愛おしくて、本当の恋を初めて知った気がした。
仕事が終わったシゲが、いつも帰りに私の家に来てくれて。だからシゲがぽいぽい脱ぎ捨てていったドレスシャツもネクタイも、飲み会帰りで飲み屋さん臭くなっちゃったスーツも。洗濯したりクリーニング出しておいたりして、いつ泊まっても大丈夫なようにしておいた。
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ゆっちゃん - もうスッゴい感動です!いつの間にか涙腺崩壊してました(;つД`)またこのような作品が読みたいです! (2018年4月27日 0時) (レス) id: 690f139b43 (このIDを非表示/違反報告)
LOVE - 超感動で泣いてしまいました。マジ感動作。今回みたいな感動作また作ってください! (2017年3月31日 0時) (レス) id: 3e63f40173 (このIDを非表示/違反報告)
chi(プロフ) - 泣きました。そして話の中でのことすごく分かります。友だちに話の内容的なことを言われたばかりでした。すごい!と驚きました。 (2017年2月20日 0時) (レス) id: f8c9543924 (このIDを非表示/違反報告)
有咲(プロフ) - 初めまして。もう、毎回じぇにーさんにはキュンキュンさせてもらっているか、涙腺崩壊させてもらってます。遠回しな恋物語、なかなかくっつけさせない感じ大好きです♪これからも、頑張ってください!! (2017年1月8日 16時) (レス) id: fd3021356a (このIDを非表示/違反報告)
杏離サマ/@ラ(プロフ) - はじめまして。すっごい感動していつの間にかぼろぼろ泣いてました。次の作品も楽しみにしてます! (2016年12月18日 10時) (レス) id: bb5adfcd27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:◯じぇにー◯ | 作成日時:2016年12月8日 23時