テヒョンさんとのおしごと。3

久しぶりに聴く声（TH side） ページ9

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TH side






TH「 …………もしもし、 」






心臓がドクドクと速いリズムで打ち付け、少し考えた後 " 鳴り止む前に " と急いで応答ボタンを押す。



聞こえてきたのはずっと愛おしくて、聴きたくてたまらなかった彼女の声だった。





『 ……もしもし、テヒョンさん、？ 』





話し方は柔らかくて、なんだかふわふわしている。
お酒でも飲んだのだろうか。





TH「 そうだよ、テヒョン 」





『 ……わあ、テヒョンさん、 』





TH「 なーに、？ 」





聞きたくてたまらないこと、話したいことはたくさんあるけれど、彼女のふわふわした声を聴いているとそんなのは後でいいかと思ってしまって。


久しぶりに使う日本語でせいいっぱい返事をする。





『 ……わたしね、あのね、 』





「 ……うん 」





『 わすれちゃいたかったけど、だめで、 』





「 ……うん 」





『 どうにもできないみたいで、 』





「 …うん 」





『 ……わかんなくて、 』





「 …うん 」





『 さいごの、じゃなくて、まだおわってなくて、 』





「 ……うん 」





『 んと…… 』





そこから彼女の返事はなくなって、聞こえてきたのは スー、スー、と定期的なリズムの寝息。





「 ……寝ちゃったの？ 」





そう聞いても返事はなくて。




まだまだたくさん話したいことがあるのに、聞きたいことがあるのに。




さっきの言葉はどういう意味なの？続きはなんだったの？って。




少しの可能性に賭けて電話を一旦切り、もう一度かけ直してみる。


だけど、コール音が鳴るだけでまた彼女が出てくれることはなくて。




心臓だけがまだドクドクと速いリズムで打ち続けている。




……ああ、今夜は眠れそうにない。





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