テヒョンさんとのおしごと。3

彼の存在（部長 side） ページ7

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部長 side




以前のAは入社した頃からずっと、いつか突然壊れてしまいそうな危うさがあった。最初はそれが不安で気にかけていた。

話してみるとやっぱりたくさんのプレッシャーとか責任感でギリギリになりながら働いていて。




だけどあの仕事をきっかけに、Aは明らかに変わった。




仕事中にも笑顔が増えたし、危うさなんてあっという間にどっか行っちゃって。

やっと、心に余裕ができたのだろう。




それは大きな仕事を経験したのもあるけれど、加えて彼との出会い、そして彼の存在が大きな意味を成していたのだと気付いたのはそう遅くなかった。





ある時、出社してすぐにデスクで泣きそうな顔をしながらパソコンの画面を見つめるAを見た。




声を掛けようと後ろに行くと、画面上を動くカーソルは彼からのメールを未開封のままゴミ箱へ移動させていた。


そのまま俯いてため息をつくもんだから、何かあったんだろうと察してしまう他なくて。





その日の夜は確か、一緒にあのイタリアンバルでも行ったっけ。

あ〜〜、あそこのパスタ、美味かったんだよなあ…




って、そんなことはどうでもいいか。






その日以降のAは明らかに元気が無くなってしまって、でも相変わらず仕事は完璧。



何かあったのか、と杉本に聞いてみても " うーん……私も聞けなくて…… " と返ってきた。





そんな毎日が過ぎてあらよあらよと韓国行きが決まって、今に至る。


韓国に来てからはイキイキしていたけれど、今後輩に " 好きだった人 " のことを聞かれているAはあの時と全く同じ顔をしていて。









部長「 まあまあ、じゃあ俺のモテエピソードでも聞く？マジで東京にいた頃は無双してたからね 」






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