テヒョンさんとのおしごと。3

可愛い後輩（部長 side） ページ6

.




部長 side





明日も休みだし一杯どうかとAの部屋を訪ねてみると、そこにはたくさんの後輩たちがいて来たことを少し後悔した。


けれどこうして仕事のことを抜きに話す機会もないし、何より話してみるとみんな面白くて良い奴らだった。




Aがこんな風にたくさんの仕事仲間と飲んでいるのは正直初めて見た気がする。

日本にいた頃は俺と杉本しか飲み仲間いねーんじゃねえの、なんて思っていたぐらいだ。




いっちょまえに課長らしくやっているAを見ると、なんだかウチで飼っている猫のように思いっきり撫でてあげたくなる。




Aは良くも悪くも責任感が強いタイプだからまた一人で頑張りすぎてしまいそうだけれど、この後輩たちに囲まれていれば俺の出番はあまりないかもしれない。




自分がAに抱いている感情が " 可愛がっている後輩 " だけじゃないことはなんとなくわかっている。


だけど、それをどうにかするつもりもないしどうにかなりたいとも思っていない。





AはAで勝手に幸せになってほしい。
そんで、俺はそれを蚊帳の外から、やいやい言いながら見届ける、と。




……俺、拗れすぎ？






ジェヒョンに " 最後の恋愛はいつ？ " なんて聞かれて、 " 最後かあ…… " と言って少し俯いたA。




俺が代わりに答えてやろうか？





『 ん〜、いつだっけなあ…… 笑 』





そんな風に誤魔化すAだけど、後輩からの追撃は止まらない。




ジェヒョン「 はい誤魔化した。ダメですよ、罰ゲームです。これ飲んでください。 」





差し出された焼酎に " うげー " って言いながらもグイッと飲み干す。





ハリン「 いつですか？どんな人だったんですか？ 」





『 うーん、……あったかい人、。 』





ソヌ「 すごく抽象的ですね 」





『 ……一瞬で、周りの人を自分の空気に巻き込んじゃうような人、空気を変えちゃうの、いい意味で 』





ジウ「 へえ…… なんだか不思議な人ですね 」





ジウちゃんにそう言われてAは頷き、またグラスに入った焼酎をごくりと飲む。





.






V、ことキム・テヒョンさん。


彼と出会ってからのAは明らかに変わった。




ずーっと張り詰めていた糸が切れて、なんというか…… " 人間味を帯びた " ような、そんな感じ。






.

彼の存在（部長 side）→←お酒の勢い

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す