大きな存在 ページ39
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ジョングクさんが帰ったその日の夜、ある時間からずっと私の携帯は鳴っている。
その着信元をブロックすることができなくて、私はかれこれ2時間くらいずっとその音と共に過ごしている。
" 電話出て "
" 少しでいいから "
" 伝えたいことがある "
" お願いだから、どこにもいかないで "
電話の間に挟まれるメッセージの通知を見ると心が痛くて、今すぐにでも電話に出て彼の声を聞きたくなってしまう。
彼の低くて優しい声が、今になってすごく恋しくて、
自分が彼のことを大切に想っていたことを改めて認識した。
『 ……好き、だった、 』
彼と過ごした時間や思い出、そして彼への気持ちを全部忘れてしまうことはまだ出来そうにない。
言葉だけでも過去形にしちゃえば、なんて思ってそう呟くけれど、なんだか余計に辛くなってきて。
しばらくはこの気持ちと共に生活しなければならないと思うと、それだけでもすごく怖くて泣きそうになった。
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翌朝出勤してパソコンを開くと業務用のメールボックスにも彼からのメールが何件か入っていた。
明らかに仕事の内容でないことはわかるし、開いてしまえばまた気持ちが揺れ動いてしまいそうでそのメールはまとめて全部削除した。
部長「 ……なんか嫌なことあった? 」
" 元気無さそうじゃん " と言って、私の隣のデスクの椅子を引いて座る部長。
最近私に責任や業務が一気に増えたせいか、よく気にかけてくれている。
『 …なにもないですよ、大丈夫 』
部長「 …そう?年末だし忙しいと思うけど、無理だけはすんなよ 」
『 部長こそ。毎日残業してるの知ってますよ? 』
部長「 俺はもっと昇進したいからさ〜。Aはそんなことないでしょ? 」
『 私だって昇進したいですよ。もっと……幅広い仕事ができたらいいと思ってます 』
曖昧だけど、最近はなんだかもっと視野を広げて仕事がしたいと思うようになった。
これも"彼"の影響なんだろうか。
部長「 ふーん…… まあ、Aならすぐだよ 」
『 そんな適当なこと言って。 』
部長「 今日メシ行こ、空いてるでしょ? 」
『 空いてる前提やめてください、空いてますけど…… 』
部長「 決まりね、残業なら言って 」
『 わかりました 』
部長は私の返事を聞いて、満足そうに自分のデスクへ帰って行った。
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まこ(プロフ) - ゆーみさん» 不定期で申し訳ないです( ; ; )続編でもよろしくお願いします! (2021年5月5日 3時) (レス) id: 7510ce0228 (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - 杏奈さん» ありがとうございます!!( ; ; )今後もぜひ見守ってください!( ; ; ) (2021年5月5日 3時) (レス) id: 7510ce0228 (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - riyaさん» わ〜〜いつもありがとうございます( ; ; )続編でもよろしくお願いします! (2021年5月5日 3時) (レス) id: 7510ce0228 (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - チヒロさん» ありがとうございます( ; ; )すっごく嬉しいです……!ご期待に沿えるよう努力します! (2021年5月5日 3時) (レス) id: 7510ce0228 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみ(プロフ) - 更新楽しみにしています!! (2021年4月27日 9時) (レス) id: 7ed0007cba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まこ | 作成日時:2021年1月16日 19時