失態と始まり�� ページ2
視界に入ってくるものの情報量が多すぎる。
ーーこいつは人間？鋭いその目、爪、…牙？
こいつの後ろにいるのは、お母さん？その腕の中には妹がいる。動いてない？こいつの持っているその見覚えのある腕は誰の？
頭がうるさい。
どうやって立っているのか、息をしているのか、わけがわからなかった。
｢お前、可愛いなァ。歳はいくつだ？肉付きが良くて美味そうだなぁ｣
ヒタヒタ、ピチャピチャとゆっくり1歩ずつこちらに向かってそいつは私の方へと歩き出した。
すると、そいつが立ったことにより弟のバラバラになった身体が私の視界に入った。
ブチブチブチｯ
ーーー私の何かが音を立てて、弾け飛んだ。
『ぁぁあああああああああぁぁぁああ！！！』
｢なんだ？｣
身体が燃えるように熱い。
さっきまでは指の先まで凍りつき、神経が通っていないような感覚とはえらい違いなほどの全身の燃えるような熱さ。
自分からこんな怒りの叫びがでることに対しての驚き。
夢でも見てるんじゃないかっていうような、初めてだらけの感覚だった。
歯を食い縛るように、したことのない呼吸様式。
斧を持つ手から出る炎。
全身からでる蒸気。
ーーああ、怒りで我を忘れて幻覚を見ているんだと意識の遠くで自覚した。
｢…火？｣
鬼のような顔をしているそいつにも、それは見えているようだったがそんなことに構う余裕などは無く、私はそいつへと飛びかかって行った。
人間ではない鬼のようなやつは、ポカンとしたままで動きもしなかったため首目掛けて横一直線に斧を思いっきり振った。
思った以上に重みはなく、藁の束を横に切るような感覚だった。
血しぶきを身体中に浴びていると、後ろのほうで飛ばした頭が地面に落ちる音がした。
『ハァ……ハァ……ハァ……』
真っ赤に染まる手を広げ視線を落とし、なんとか呼吸を整えた。寒さを吸った時の肺の痛さとは違う種類のそれに少々焦りを覚え出す。
｢……ﾎﾞｿ……ﾎﾞｿ……｣
『え？』
首を撥ねたはずの頭の方向から声が聞こえ、思わず振り返る。ーーもしや加勢にきた別のやつが？と、視界に入る全ての草の茂み、木と、その声の人物はいないかと探す。
｢てめぇ、なんてことしやがる｣
『は？』
信じ難い事に、声はその生首から聞こえてきたのだった。
ーーなぜ、即死しない？
｢そんなんじゃ俺は殺せないぜ？｣
ーー頭が真っ白になった。
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シレン(プロフ) - Lastさん» ご指摘ありがとうございます！いやいや、お恥ずかしい！！すぐ治します！！ (2020年11月1日 1時) (
レス) id: 5c1c19fa9a (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - この作品いつも読んでます！！ただいま�，覇�輪刀が日輪等になってましたよ。これからも投稿頑張って下さい！！ (2020年10月31日 23時) (レス) id: 7e2a5ee326 (このIDを非表示/違反報告)
シレン(プロフ) - よるさん» コメントありがとうございます！くっつくまでの過程が大好物です！！ (2020年10月31日 22時) (レス) id: 5c1c19fa9a (このIDを非表示/違反報告)
よる - 焦ったい…大好物です！！！ (2020年10月31日 21時) (レス) id: 857d9d8983 (このIDを非表示/違反報告)
シレン(プロフ) - ましゅさん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけるように頑張ります！ (2020年10月30日 14時) (レス) id: 5c1c19fa9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シレン | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16108143
作成日時：2020年10月26日 3時
