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「…A、何で電話出てくれへんの。ちょっと目離したらおらんようになってて、駅まで走ったけど見当たらんし、Aの友達も知らんって言うし。漸く見つけたと思たら知らん人らに話しかけられて泣いてるし。」
『…正門くん、何か用やった？』
「…A？」
『さっきみたいに私なんてほっといてくれても良いのに。』
口から溢れるのは嫌な私ばっかり。
『離して』
「…いつもみたいに良規って呼んでや。今日1回も呼んでくれてへん。」
抱きしめられる力が強くなるのを感じて、つい心の声が漏れてしまう。
『…私のこと、ほんまに好き？』
抱き締められた腕が解かれ、彼は悲しげな表情で私の手に触れる。
「好き、大好き」
『私より他の人優先するのに？』
「…ごめん」
『めちゃくちゃ悲しかった。寂しかった。私が彼女やのにって悔しかった。』
「ほんまにごめん。そんな風に思ってるって気付けんかった。」
『言えんかってん、優しいのは良規の良いところやから』
「Aに寂しい思いさせてんねんで、優しくなんかないよ」
『ううん、優しいよ。私を大事にしてくれてることもわかってる。でも、だからこそ寂しかった。』
今度は私からギュッと抱きつく。
「許してくれるん？」
『…良規でいっぱいにしてくれるなら』
「…良いん？」
自分から言い出したのに恥ずかしくなり頷くので精一杯。
「途中でやっぱ嫌って言ってもたぶん止めてあげられへんで？」
『絶対言わんもん』
「…うちでええ？」
『…うん』
彼の優しさで寂しくもなる、彼の優しさで満たされもする。
いつだって私は優しい彼を中心に回っているようだ。
▽△▽△▽△▽△▽△
最後まで書かないとはいえ、正門くん高確率でこういうエンドにしてすみません。
次から続編へ移行します。
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作者名：透 | 作成日時：2022年12月9日 6時
