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下校時間、天気予報通りに雨が降り始めた。
梅雨だからって傘を持って来ておいて良かった。
駅へ向かう同じ制服の中、1つの傘に目が行く。
後ろ姿だし傘ではっきりと見えないけど正門先輩に似ている気がする。
声をかけてみようかなと一歩踏み出した時、その傘はスッと誰かに傾けられた。
チラッと見えた横顔はやっぱり正門先輩。
…彼女、なのかな。
でも先輩は優しいから頼まれて断れなかっただけなのかも。
でも相合傘ってそんな誰とでもするもの？
でも…でも…
ポタッと頬に何かが落ちる。
…傘をさしているからきっと気付かれない。
こんな顔は見せたくないから雨で良かった。
…でもちょっとだけ、少しでも希望があるなら振り向いて。
私のことを少しでも視界に入れてくれないかな。
なんて隣の人と楽しそうに話す先輩にはきっと届かない。
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作者名：透 | 作成日時：2022年12月9日 6時
