こんにちは、恋歌。 (ページ8)

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結局今日も何も起こらない。

私だけがこの先を望んでいるのかな…と落ち込んで改札を通ろうとすると

「Aちゃん！」

彼の声と共に体が後ろに引っ張られた。

驚いて振り返ると少し目を泳がせる良くん。

『…どうしたん？』

「…ごめん」

『え？』

「やっぱり一緒に帰ろ」

そう言うと私の手を引きながら改札を通る。

私も慌てて付いていく。

『良くん？』

彼はこちらを振り向かず、私が乗るはずだった電車とは逆方向の電車に乗り込む。

『あの…』と背中に話しかけると漸くこちらを向いてくれた。

「…嫌やった？」

『そうじゃないけど…急やったからびっくりした』

「いつもAちゃん見送るときに思ってた。帰らんといてって。」

『そうなん？』

「でも今日はAちゃんも同じように思ってくれてるんちゃうかなって自然に体が動いてん」

少し恥ずかしそうに顔を伏せる彼に、先程までのもやもやは晴れていく。

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