運命 ページ7
「無理すんな…」
無理して笑おうとする私に
臣さんがそう微笑んでくれるから
だから私は素直に泣いた
臣さんは私のそんな涙をただ黙って見守ってくれて
やがて泣き止んだ私の頭をボフって撫でてから
「なんかゴメン……」 そう呟いた
思いがけない言葉にゆっくり臣さんの顔を伺う私
ゴメンなんて言われる事に心当たりはなかったし
ゴメンは私のセリフだって思ったから……
「俺ね…風香ん事俺らのドクターに預けたい…そう思ってた…風香が最後に過ごした病院より俺らのクリニックの方が設備もしっかりしてるしドクターのレベルも確実に違う……だから俺は風香をそこに移したかったの…もっとちゃんとした医療環境で治療させたかったの……けど…」
臣さんの言葉は "けど" の後に
戸惑うように
「風香はお前の傍から離れたくないって…あの病院に居ることを選んだ…だから俺…正直最初はお前のコト…ゴメン…嫌ってた…お前のせいでって恨んでた……」 そう動いた
まっすぐに私を捉える臣さんの瞳の中
今の私はどう映るんだろう……
そんな風に恨むしかなかった私をこうして大事にしてくれる気持ちは
…どんな気持ちなんだろう……
ごめんなさい…って言うことは許されるコト…？
許されるコトだとしたらいくらだって伝えたいけど
簡単に伝える事は憚られる気がして
私は不意に無口になってしまう………
臣さんはそんな言葉を失う私に困ったみたいに笑って
「けど…今なら風香の想いが解る気がするわ……お前って放っておけねぇ…って思わせるもんな」 そう言ってくれた
「だから…笑ってて……って思うのは俺だけじゃなくて風香も思ってる気がする……」
不意に微笑うそんな笑顔で
……今。解った……
臣さんの瞳の中に映る私の隣にはいつだって風香ちゃんが居て
臣さんが見てるのは私の隣で微笑う風香ちゃんの姿なんだ
それってすごいなぁ……
そう思うのと同時に
泣きたくなるくらいの気持ちを感じる
もう2度と逢えない人を想い続ける想いは
多分とても苦しい
2度と触れられない人を好きでいる気持ちは
多分想像するよりずっと寂しい
それでも迷いなく続く想いは
とても尊い…
そっと
「風香ちゃんとの恋は幸せでしたか？」って問い掛けてみる
そんな質問に「当然」って臣さんが迷わずに微笑って応えるから
私は2人に "運命" なんて言葉を
照れる事なく教わった気がしたんだ
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みぃー姉(プロフ) - 初コメします。読んでいてぐっとくるとこがあり夢中になって読みました。続きは楽しみですが、ご無理のないようゆっくりと梨香さんのペースで大丈夫ですから。他の作品も読みながらまたこの作品に遊びに来ますね！ (2019年10月22日 1時) (
レス) id: 6118210b1a (このIDを非表示/違反報告)
Mi(プロフ) - こちらこそありがとう！無理しないでくださいくださいね (2019年7月1日 23時) (レス) id: 9c5d169021 (このIDを非表示/違反報告)
梨香(プロフ) - トミトミさん» はじめまして！コメントありがとうございます！お言葉の通り無理はしないで少しずつ更新予定です。本当に暖かい気持ちをありがとうございます！これからもどうかよろしくお願いします！ (2019年7月1日 21時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)
梨香(プロフ) - Miさん» ありがとうございます！storyが好き…そんな暖かいお言葉にとても励まされます…。今日からまた少しずつですが更新予定です！これからもどうかよろしくお願い致します！！ (2019年7月1日 21時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)
梨香(プロフ) - kotaさん» 暖かいコメントありがとうございます…待っていてくれる人がいる…とても幸せな事です。ホントにありがとうございます！今日からまた少しずつ回復予定です！これからもどうかよろしくお願い致します！！ (2019年7月1日 21時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梨香 | 作成日時：2019年6月1日 18時
