LAST / Love Song... Song/2

画面越し ページ29

(隆二Side)


先に動き始めたのは

俺じゃなくて



『……こんにちは……お久しぶりです』

そうひらひらと手を振って微笑んでくれる咲良ちゃんの方だった




"逢いたくても逢えない"


… "逢うのが怖い" ……




そんないつまでも煮え切らない俺に微笑みかけてくれる臣からのテレビ電話

小さな画面の中の咲良ちゃんの笑顔




……痩せちゃったな…って思うけど


それでも笑顔はなんにも変わらずに
少しだけ恥ずかしそうに



『本当はすごく悩んだんですけど臣さんが "電話ん中で逢うくらいなら大丈夫だろ" ってこうして電話掛けてくれて……』

たどたどしく話し掛けてくれる




その周りには

『俺らもいまーす‼✧*』っておんなじようにひらひらと手を振ってる直人さんやELLYも居て


画面が流れ動いた先では


『ねぇ？隆二さん…みんな此処にいるのにいつまで意地張ってんの?』って


ツンとしながらもガンちゃんが聴いてくる






みんな咲良ちゃんの傍

本当はみんな不安抱えてんのにそれでも微笑い合ってて



なのに俺は


いつまでここにいるんだろう…



……いつまで逃げてんだろ……








『私…隆二さんとユキナさんの事…聴きました…』


不意に咲良ちゃんが画面越しに見つめてくる


『だから隆二さんの気持ち…なんとなく解る気がします……すごく傷ついちゃった気持ち……』




咲良ちゃんがゆっくりそう言ってくれて


それから臣が咲良ちゃんから携帯奪ったのかな…? 少しだけ画像が荒れて



『隆二!今だけは逃げねぇでちゃんと咲良と向き合ってやれよ…?俺らみんな病室出たトコでちゃんとお前の事見守ってるから…』

そう訴えてくる臣の顔が映って



『隆二さん！これ以上咲良ちゃんの事傷付けたら俺.本気で隆二さんの事キライになりますからねっっ‼』

そんなガンちゃんの声も聴こえて




そして臣は咲良ちゃんに何かを話して携帯を咲良ちゃんに渡してから


皆と一緒に病室を出てったのか画面から消えた






…画面越しに2人きり…


しっかり俺と向き合ってる咲良ちゃんの瞳





その瞳は逃げてばかりの俺にはあまりにまっすぐ過ぎて


俺は電話をoffる事も

微笑ってやる事も出来ずに

ただどうしていいのか分からないまま黙り込んでしまう





そんなどうしようもなく情けない沈黙を破ったのは






『……私…隆二さんの事が好きです…』





そんなストレート過ぎる告白の言葉だった

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