Crystal _ 虹彩の彼方 ＿

涙の水曜日 ページ9

_水曜日

ピコン♬
小さな音を立ててLineが届くデスクには

『待ってます』

文字じゃなくてスタンプだけのシンプルな山下さんからのお誘いメッセージ

失敗、既読…付けちゃった…

私は心でそう想いながらデスクをパタンと綴る

今日は水曜日_

あの日から…
彼女さんと約束した日から初めての水曜日＿


『あれ、珍しい。最近水曜日はカフェに行ってるのに今日はお弁当？』

デスクの前でお弁当を広げる私に不思議な顔をするミキに私は

「うん、もう水曜日のカフェ通いはおしまい。金欠だしね(╥ω╥`)」

そう笑ってはぐらかせるけど

本当は心の中は泣いてる…気がして
上手く笑えてるか少しだけ心配になってしまう

『そっか、毎週水曜日に嬉しそうな顔してカフェに向かうからてっきり彼氏でも出来たのかな〜なんて思ってたんだけど』

…ゔっ

さすがミキ
笑えないくらい私のコト…解ってるから嫌になる

「……」

何にも言えなくなって
何にも言えない代わりに泣きそうになって

『どーしたの、何？泣くの？ちょっと…ｯ?!』

焦ってる顔見たら笑えて

でも

今頃、山下さんはあの人と…って思ったらまた泣きそうになって

「…私ね、好きな人が居たんだ…」
カミングアウトするみたいにポツンと呟いたら

涙溢れてきて

「でも、終わっちゃった…」
素直に言葉にしたら涙は止まんなくなった


『ちょっと梨香〜…泣かないでよぉ〜』

私の涙に何故かミキも釣られて2人して大泣きして

2人で泣き止んでお弁当突いてたら
いつの間にか2人でクスって笑ってた

2人で笑って泣いた後ミキは

『ねぇ、頼りないかもしんないけど私はアンタの味方だからね？…ずっと梨香の友達だからね？』 って。勇気付けるみたいに言ってくれたけど

勇気付けてくれてるって解りながら私は

…友達…

それだけで良かったのにな…なんて
やっぱりぼんやり山下さんを想った

だって
友達でいられるだけで無条件に傍に居られた

水曜日だけだったけど

2人で笑って
2人でランチ突いて

時々
山下さんが嫌いなモノを私のお皿に入れて
私が嫌いなモノを山下さんのお皿に入れて

2人で "シェアだね" "そやな" って笑い合っていられた

おんなじ席で振られた事がきっかけで仲良くなって

でも

おんなじ席で振られた人と山下さんが戻ったら
私_は山下さんの何でもなくなっちゃった…


また涙で前が霞んでしまう私にミキは励ますように

『次の恋探そう！』 ってカラっとそう言った

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