Crystal _ 虹彩の彼方 ＿

きっと、いつか ページ13

『梨香〜！こっちこっち〜‼』

約束の時間
待ち合わせたカフェ

ミキに呼ばれる私の視界に入り込むのはミキと向い合せの席に座ってる男性の背中

そう。
私が山下さんの事を忘れるために紹介される人…


"とにかく笑顔で‼"

そんな気持ちを抱えて少しだけドキドキしてる気持ちを隠しながら私がテーブルに付くと

『梨香、彼が私の友人の亜嵐、なかなかいい男でしょ？』って

嬉しそうな顔でミキは早速、紹介してくれた

…確かにカッコイイ人…だと思う
すごくオシャレだし

けど
名前と見た目から気になった事１つ…

「…ねぇ、亜嵐さんってハーフなの？」なんて

私は少しだけ失礼な質問をミキの腕を引っ張って小声で確認してしまう

だって
白いパーカーと黒い帽子とさり気なく付けたピアスの彼は

どこまでも瞳が済んでいて
そう。まさに "日本人離れした" 容姿だから

『んー。ねぇ、亜嵐ってハーフだっけ？』

せっかく小声で確認したのに
小声の意味をまるっとムダにして
ミキが "亜嵐さん" に問い掛けると

"亜嵐さんは"
『母親が海外の人間だからまぁハーフっちゃハーフだよね、けど俺自身は愛媛製だよ』 なんて失礼な質問にもフフっと笑って

『はじめまして、白濱亜嵐です！』
そう大きな手を差し出してきてくれた

…あれ？
…いい人…っぽい…?

笑ってくれる顔も男の人にこんな事言うのは失礼かも知れないけど…可愛い感じだし…

『どうよ、間違いなくアンタの趣味範囲内でしょ?』

ニヤニヤした顔で私に小声で話してくるミキのイタズラに輝く瞳

ミキのこのイタズラな瞳はちょっとだけ、悔しいけど…確かになんにも反発出来ない…

ふふふーん♬

そんなミキの鼻で笑う声が気になるけど
私はその差し出してきてくれた手をそっと捕まえてから

"木村梨香…です…" なんて
少しだけオドオドしながら自己紹介をしていた

優しそうな亜嵐さんの瞳と手のひらと
とても満足そうなミキの瞳と

ほんの少しだけドキドキ出来てる気持ちで私は

これから少しずつ少しずつ…

山下さんの事を忘れていけるんだ…って

少しずつ少しずつ
亜嵐さんとお互いの事を知っていって

いつか…

…いつかはお互いに好きになれたらいいな…って

本当にちゃんとそう思えたんだ


亜嵐との出会いの日_

それはよく晴れた秋晴れの日曜日で
穏やかな日差しみたいに心の中もほんのり

…ほんのりとね
暖かい予感でいられた事は今もちゃんと覚えてるよ…

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