Crystal _ 虹彩の彼方 ＿

すれ違う風とホンモノの想い ページ24

山下さんを見かけたのは
それから何日かが過ぎた頃で

私は思い切って声を掛けてみたけれど
山下さんは、そんな声に気付かなかったのか

ただ

私と山下さんの間をとおり抜けていったのは
すれ違う風だけ…だった

けど多分…
多分だけどね…

山下さん.私の存在には気付いていたよね…
私か此処に居るのは気付いていたよね…

でも

これが山下さんの答えなら私にはもう

…この現状を受け入れることしか出来ない…

例え哀しくても
例えツラくても

これが山下さんの出した答えなら
仕方がないじゃない…
私にはどうしようもないじゃない…

追い掛けて
"どうして避けるんですか?"…なんてさ。
聞ける訳ないじゃんか…


「…覚悟はしていたけど…ツライなぁ…」＿

小さく零れ落ちたヒトリゴト

しゅんとして
下を向いて涙落ちるの我慢して
信じられないくらいの痛みを感じてしまうけど

でも…
それでもね…

"告白しなきゃ良かった"…とは思いたくはないんだよ…

そんなこと思ったらさ
想いを伝えた自分が可愛そうじゃんか…


こんな答えしか出なかったけど

"言えて良かった"…って思いたいじゃんか…

もう山下さんのあの笑顔が見れなくてもさ

あぁやってお互いの苦手なモノをシェア出来なくてもさ…

ちゃんと…最後…
…最後…に "好き" って言えて良かったんだよ…

自分の気持ち解放してあげれて良かったんだよ…

でもね…

でも、そう思ったって
ツラくないなんてのはやっぱり別なんだよ…

「…痛いなぁ……」

胸がぎゅんとなって
息するのも苦しいくらいにツラくて
ポツンと涙が1つ落ちたら.止まらなくなって…

うずくまって泣いてたら
トントンって誰かが背中を軽く叩いてくれて

山下さんかな…ってほんの少し期待して顔上げたら…

『今夜は呑み行こ…朝まで付き合うから』って
ミキが優しく微笑んでて

だから私は

山下さんじゃなかった…ってほんの少しのガッカリと

それでもどこまでも優しいミキの笑顔で

さらに状況は悪化して
私は声が枯れてしまうんじゃないか…ってくらい

大きな大きな声で泣きじゃくっていた

子供みたいに泣いて
涙止まらなくなって
迷子みたいな気持ちになって

それでも山下さんが胸から消えなくて

だから私は本当に初めてにして

あの日、亜嵐が私に言った言葉の
本当の意味がようやくにして解った気がした…

それは紛れもなく
誰がなんと言おうと ホンモノ …だった……

行方のない涙→←STOP _Side/KENJIRO'_

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