REAL _最初で最後の恋_ 2

過去と三代目という名前のこだわり ページ8

2人が駆け込んだのは
セキュリティなんかあるのかどうなのかもわからない

それでもカウンターすら存在しない

そんな小さな部屋…だった＿


小さな部屋に無駄に存在感を放つ大きなベッド

その上で

私と健二郎は

何度もキスを重ねて
そして。何度も熱を重ねた

帰りの電車の最終時間なんかどうでもよかった

そんな事…
なんにも考えられないくらい

夢中になって健二郎を求めた


キスをくれる時.私の頬を包んでくれる手のひらも

腕や胸の筋肉も

声すらあの頃の健二郎よりずっとずっと大人になっていたけど

私はその "大人に変わった" 健二郎ごと求めた


2つが1つに重なって

それが嬉しくて

嬉しくて流れる涙を
優しい健二郎の指が拭ってくれて

だからまた重なって


あの頃といちばん変わったコトと言えば

健二郎が何度か照れもせず口にした "好きや"の言葉と "愛してる" …だと思った


あの頃…

照れながら言っていた

好きや。も
愛してる。も

何ひとつ照れることなく伝える健二郎は私の瞳の中

異常なくらいに大人に見えて

それと同じくらい異常なくらいにかっこよく見えた


重なる度に思っていた

壊されたい…って気持ちは

この時感じたそれがいちばん大きかった


健二郎の指で.手のひらで.腕で.唇で

そして体全体で…壊されたいと思った…

そんなコト思ったら
私の口からも "愛してる" が何度も零れた


_俺が三代目やなかったら…お前ん事…全部奪ったれるんかな…＿

抱き寄せながら言う健二郎の言葉に
顔をグンと上げたら

健二郎は "見んなや" って私を胸に押さえつけたけど

間違いなく…泣きそうな顔をしてた……


三代目とか関係ないよ_

言えなかったのは

健二郎にそんな言葉を言わせて
健二郎に泣きそうな顔をさせたのは

私の "過去" のせいだと思ってしまったから……


三代目に拘って
それで健二郎を困らせて傷つけた

私の…過去のせいだと…解ってしまったから…



三代目とか関係ないよ…

私に言う権利があるのか解らなかった

私が言っていい言葉なのか解らなかった


"愛してる"を重ねて

お互い好きな想いを知って

そして体ごと重ねても


あの頃…

私と健二郎の間に

私が作ってしまった

三代目という名前の壁は
三代目という名前のこだわりは

いつまでも消えることないまま

私と健二郎が "戻る事" を 拒んでた



此処にいるのはただ

"今の"健二郎と私の2人なのに

"過去に"引き裂かれてる_

そんな想いがちっとも消えなかった…

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