REAL _最初で最後の恋_ 2

立ち止まる背中 ページ7

「健二郎ー！大好きだよー！！！」

それはもう。
ファンの子の心境そのもので叫んだ

…叫び続けた心からの想い


ファンとして叫び続けた言葉の

大好きだよのゆくえはもう

三代目とか
私が知って "いた" 健二郎とか

どうでもよかった

誰にでもなく健二郎へ

ただ1人。健二郎だけへ届けたくて

必死で全力で

大好きだー！と。私は叫び続けた


好きで好きでたまらなかったその想いを

他の誰でもなく健二郎だけにむけて叫び続けた

それでもその背中は1歩ずつ。
そしてまた。1歩ずつ

健二郎の "リアル" へと
健二郎の "今の環境" へと向かっていって

＿どうしても届かないよ_


私がそう諦めた時

ピタリと背中を向けたまま止まった


その背中が止まるのと
私が健二郎に駆け出したタイミング

…どっちが先…だったんだろう


離れた分のキョリを少しだけでも縮めたくて

私は一生懸命に駆け出してた

駆けて
駆けて

やっとの思いでしがみついた健二郎の背中は

やっぱりあの頃の背中より広くて

だから私は背中が広くなった分。
ぎゅーって思いっきりしがみついた


_行かないで

_振り切らないで

_少しでいいからこのままいさせて …


しがみつく背中に死ぬ程.願った

行かないで_
振り切らないで_

少しだけでいいからこのままいさせて_


願う言葉そのまま口にしたかったけど
やっぱりどうしてもなんにも言えなくて

言えない分またきゅっとしがみついた


心なんてぶっ壊れてしまいそうで
涙だけじゃ足りなくて

しがみついた手はやたらに硬直して震えて


でも

健二郎が振り向いてそっと

私を抱き締めてくれた時＿

その全部はスルスルと言葉に変わった


「…お願い…離さないで…」

そのたった1つの言葉に

行かないでも
離さないでも

まだ健二郎が好き…も。全部籠めた


はぁ

これは健二郎のため息


見上げたら

『…こうなる事解っとったから会いたなかったのに…やっぱり会うてしまうんやな俺は……』

困ったような顔で健二郎は笑った


_いつまでも甘いな.俺は…

プツリと呟いて困ったみたいに笑った健二郎の言葉には

_俺も好きや

そんな想いが浮かんでる氣がして

だから私はまたギュッと健二郎にしがみついた


私に出来る事なんか他に何もなかった


しがみつく事で想いを伝えたかった

しがみつく事で寂しさを拭いたかった

そして

しがみつく事で健二郎を感じたかった…


しがみつく事で

もう私は何処にも行けない_なんて事

今更のように思い知っていた

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