ゴメンとか ページ3
福岡の何処にも行く所がない私の代わりに
優輝が実家に帰ると決めた
三代目コンサートから半月後
荷物を纏めながら
背中を向ける優輝に私が ゴメン そう言い掛けた時
優輝は私に背中を向けたまま
『ゴメンとか。お願いだから言わないで』
そう言った
『本当は最初から分かってたんだよ俺。マサカズさんから健二郎さんと梨香の事聴いた時には本当は、分かってたんだ…でも、』
…それでもいいや。って思ったのは俺なんだから
優輝の背中は
頑なに背中を向けたままでそう言った
分かってたくせに傍に居たいと思ったのは俺なんだよ
…だからゴメンとか言わないで…
優輝はそうポソっと呟いて
そして今度は笑顔になって
『いやー。それにしてもあんなライバル居たんじゃ誰も勝てないって』
そう大袈裟なくらい笑って言った
笑顔だった、けど
笑顔なんかじゃ、なくて
笑顔だった、けど
今にも泣きそうな顔をしてた
それくらいはバカな私にだっていくらなんでも解った
それが おこがましい程に私のためだって事も…
『いやーあんな人がライバルで振られるならそれは仕方ない。相手が悪すぎる』
そう笑う優輝は
少しだけ私を凝視するように見つめて
でも。_
そう言葉を形成した
でも。俺も本気で好きだったよ…って。
でも。俺は本気でずっといっしょに居たいと思ってたよ…って。
そう云う優輝は笑顔のまま
俺は2度振られたけど
相手があんな強敵じゃなかったら
何度も振られていいかな。って思ってたよ…
そう言って
言葉はやがて "だから" に変わった
だから。梨香も何度だって振られたらいいんだよ
だから。梨香も何度だってぶつかって痛い思いすればいいんだよ
…だって
それくらい本気で好きなんでしょ……?
涙が溢れた
それは優輝の優しさと
優輝の言葉と
やっぱり胸の中にある健二郎への想いに…
でも止められなかったのは
じゃなきゃ俺が振られるのに
俺が納得できなくなっちゃうからね…...
そんな優輝の言葉が限りなく優しかったから
『そろそろ行くね』
にっこりとした笑顔を残して優輝が僅かな荷物を肩に掛けるのを
私は言わないでと言われた ゴメンを。
一生懸命飲み込みながら黙ってた
やがて
がチャリと閉まる玄関のドア
ゴメン。と一度口にしたら
もっかい ゴメン。が出てきてしまって
私は口を塞ぐかのように猫を抱いた
猫はそんな私に迷惑そうに
ブニャーと
ちょっと不細工な声で鳴いていた
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nonmama(プロフ) - 突然コメント失礼します。健二郎さんメインのお話、以前にも読ませていただいていたのですが、あらためて読み返させていただきました。私も冬物語が1番好きな曲で、歌詞もMVも大好きです!さらに関連作品読ませていただきたいと思います。素敵な作品でした\(^o^)/ (2020年11月27日 13時) (レス) id: 7c869ac398 (このIDを非表示/違反報告)
梨香(プロフ) - あやみさん» コメントありがとうございます☆同世代…なのかな?だといーなと思います!世界でいちばん愛する人。健二郎作品なのでコメント貰えてとても嬉しいです!コメント本当にありがとうございます☆ (2019年11月7日 18時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)
あやみ(プロフ) - もしかして、同世代??(笑)と、思いながらあっという間に読み終わりました。 なんか心が洗練された感じでした(笑)ありがとうございました。 (2019年11月7日 16時) (レス) id: 2d5a001c82 (このIDを非表示/違反報告)
sachi(プロフ) - 梨香さん» 確かに言わなそうだね。言葉なそんなないけど、包んでくれてるんだろな~と勝手に想像。この温かい気持ちでまた最初から読むね~。 (2019年9月4日 12時) (レス) id: c2612b7e58 (このIDを非表示/違反報告)
梨香(プロフ) - sachiさん» なんか健二郎ってシアワセにするとか言わなさそうだなと。そんな式にしてみました!満足してもらえたなら光栄です☆ (2019年9月4日 9時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梨香 | 作成日時:2019年8月31日 19時