お願い事1つ ページ26
健二郎が仕事を終えて帰ってきたのは
もう少しで日付が変わる
そんな時刻_
退屈なんか感じなかった
それは健二郎の本棚には
あの頃健二郎が好きで集めていたマンガが変わらずに置いてあったから
1巻から完結まで一気に読んで
そしてまた1巻から完結まで読んで
暗記するくらい繰り返したけど
全然退屈なんかしなかった
午後は冷蔵庫の中にある食材で夕飯を作ったり
昨日くちゃくちゃになってしまったシーツを洗濯したり
気分は勝手に健二郎の奥さんだった
この部屋の中でなら何をしてもそれは "幸せ"
それ以外の呼び方を私は知らなかった
"もし出掛けるなら周りを絶対に気をつけて"
健二郎がそう言ったから
私は1歩も外を出歩かなかった
少しずつ私もわきまえ始めていたコトは
_健二郎はやっぱり三代目なんだ_ ってコト
カーテンを敷きっぱなしの部屋
窓からの光は大きな天窓からの採光だけ
そんな部屋で暮らす健二郎はやっぱり "芸能人" だってコト
だから私は1日をずっと部屋の中で過ごして
そこで健二郎の帰りをただ待った
それだけで本当に幸せだった
健二郎を待てる事が幸せだった。
嬉しくて
嬉しくて
心はふわふわしてた
_その晩。私達は初めていっしょに広いバスルームの浴槽に浸かった__
背中からぎゅっと抱きしめられながら
私の肩先に濡れた健二郎の前髪が触れるのを感じながら
心臓が壊れそうになってるのを感じながら
「あのね…」
私はずっと聞きたかった事を1つ
1つだけのお願いとして
"健二郎の肌を誰にも見せたくない…って言ったら…ワガママかな…?"
そう問いかけるようにして投げかけた
それは知っていたから
三代目のメンバーさんが…
健二郎の周りのメンバーさんがよくパフォーマンスをしながらシャツを捲り上げること…
私のワガママだとしたらそれは仕方ないと思いつつも
欲張りな私は健二郎はイヤだ…って思った…
…私だけが知ってたい…って。そう望んでた
ははっ。
おかしそうに笑う健二郎の笑う声は
『そんなコト考えたんか』 そう続いて
そして
腕の力を強めながら。
濡れた前髪をぺったり私の肩に付けながら
"努力する" そう約束してくれた
嬉しくて
愛しくて
やっぱりたまらなくて
私ができた事は振り向いてキスをする事
たった1つだけ
そんな精一杯の私に健二郎はまた
ふはっ
笑って私の向きをくるりと変えてから
今度は前側からぎゅっと抱きしめてくれた
のぼせてしまいそうだった
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梨香(プロフ) - にゃりんさん» あと。楽しんでくれて本当にありがとう…この作品は私にとってSpecialなので褒めてもらえるとホッとするよ (2019年8月28日 18時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)
梨香(プロフ) - にゃりんさん» いひひ。最後はどーなるのかなぁ(笑)…女の子が夢中で健二郎を好きなコトと情景がいい塩梅に描けてたら嬉しいな…☆ (2019年8月28日 17時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)
にゃりん(プロフ) - 梨香さん» なんかね、恋愛に純粋だった頃を思い出すね。にゃりんぐらいおばちゃまになってから読むと心が洗われるね(笑) 日記っぽく書いてるから余計かな〜。終わりは日記調じゃない方がよりリアルかも! なーんて偉そうに言ってみたけど、つまりは楽しく読んでます(爆) (2019年8月28日 17時) (レス) id: 71dba2f90e (このIDを非表示/違反報告)
梨香(プロフ) - にゃりんさん» にゃーちゃんだからこそ聴きたい!この作品どんな? (2019年8月28日 12時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)
にゃりん(プロフ) - 梨香さん» なるほどね〜♪等身大のお話だからリアルなんだね!!それを踏まえてもう一度読みなおそーっと(笑) (2019年8月28日 12時) (レス) id: 71dba2f90e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梨香 | 作成日時:2019年8月27日 11時