春夏秋冬 / _それぞれの恋_

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『…ちょっと北川さんが落ち着くまで2人でいさせてください…ご心配お掛けしてすみません…』

他のスタッフさんに何度も頭を下げて
扉をゆっくり閉めた後で隆二は

『…俺ドラマの主人公の気分…』 って
困ったように微笑ってから

"もうここには居られなくなるかもな"…って
また困ったみたいにガリガリと頭を掻いた

…ゴメン……

私が言えることは本当にそれだけで

でも

私はそう言って
「…やっぱり私……」 そう言いかけてやめた

多分
言ったらまた1つ困らせてしまうだけだ…

好き_
言ってしまえば簡単なのに

でも言っていい関係でも距離でもない…

『俺、奥さんだけじゃなくて子供もいるんだけど…』

困ったみたいに
問いかけるみたいに
私を下から覗き込む隆二の瞳

…うん…解ってる…知ってる…

少しだけ奥さんに目元が似てる可愛い男の子だよね…

『……奥さんとは別れられても子供とは別れられないよ…?』

隆二はそう言って更に

けど

そう言って

『…時間…掛かるよ…?…待てんの…？』そう言った

「…え…?」

隆二の言葉の意味がよく掴めなくて不意に見上げると隆二は

『なんか本当、全部、予定狂わせられてんな俺…けど、考えてみたらあんたに逢っちゃったって時点で既に狂わせられてんだよな…』 って言って

"俺もお前への想いがどうしても止まんないんだよ…" そう呟いてから

そして

『俺…アンタが……四季が好きだ』って
そおっと抱き締めてくれた

_夢_かと思った

_空耳_とも思った

けど

目の前に隆二が座ってる事も
『待てんなら待っててよ…』 って言葉も真実で

だから私は

少しだけ早いけど
クリスマスプレゼントを神様からもらった_みたいな

そんな気がして

好き…も
待ってるよ…も
…ありがとう…すらも

なんにも言えないままぎゅーっと隆二を抱き締めた

これから傷つけてしまう人の事

そう
……奥さんの事…考えてみた…

子供…の事も…考えてみた…

すごく申し訳ない気持ちもやっぱり溢れた

けど

それ以上に
隆二が好き_って気持ちの方が浮かんで

どうしようもないくらいに心の中

何度も何度も _ごめんなさい_ って繰り返した

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