_9 ページ27
『あれ、まぁ…南さん、どないしはったん…帰ってくるなり困った方どすなぁ……』
口では
"困った"なんて云いながら
女将さんの手のひらが私の背中を優しく撫でる
それは
民宿に戻ってくるなり
部屋にも戻らず私が声を上げて泣いてしまったから……
_ヒトメボレ_
私…恋をした……
相手は相手にならない "人" ＿
解っているはずなのに
涙も "想い" も何ひとつ治まってはくれない
……追わなきゃ良かった…
思いたくないのに思ってしまうのは
この想いがどうにもこうにも苦しいから…
『どないしはったんどすか…言うてみてくれはりませんか…？』
心配そうに覗き込む女将さんの優しげな瞳に
私はもう全部を吐き出すかのように伝えた
お狐様にようやく逢えたこと
お狐様がイメージと全然違っていた事
そして_
「…呪術に掛かっちゃったんですよね私…」
"お狐様に恋するなんてどうかしてますよね"
そう、改めて口にしたら
ポタンとまた涙が1粒頬を滑り落ちて着た
『あらまぁ。好きにならはったんですか？』
少しだけ頬を赤く染めて
女将さんが嬉しげに微笑んでくれるのに
「…好きになっても仕方ないのに…馬鹿みたいですよね私……」 私がそう言ってみせると
女将さんは
『馬でも鹿でもあらしません。南さん?実はお狐様は……』
そう何かを言い掛けると
"そや。" そう言って
『次はお煮しめ作りましょ』 そう微笑った
「お煮しめ…」
ぽつんと口元で独り言を仄めかす私に
女将さんは少しだけ愉しげに
『お狐様のいちばんの大好物なんどす』 そう微笑った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 140人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「登坂広臣」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
梨香(プロフ) - atokさん» こんにちは！コメントありがとうございます！春夏秋冬４つの話を考えた時、隆ちゃんは切な系にしよう！と考えていたのでそんなお言葉本当に嬉しいです！これからもよろしくお願い致します！！ (2019年10月20日 11時) (
レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)
atok(プロフ) - せつない冬の恋物語が暖かい涙のラスト良かったです。車を運転する隆二さんの腕。ずっと見ていたい！ (2019年10月20日 3時) (レス) id: b336124363 (このIDを非表示/違反報告)
sachi(プロフ) - 梨香さん» 梨香ちゃん、こんにちは。う~うん、全然いいよ。泣きようなお話になるかな。梨香ちゃんのペースで楽しんで書いてね♪。よろしくね(*^-^*)☆ (2019年10月18日 12時) (レス) id: c2612b7e58 (このIDを非表示/違反報告)
梨香(プロフ) - sachiさん» さち！おはよう！返信おそくなってごめんね。新作はぼちぼちと進めていく予定！健二郎ファンのさちには悲しいお話になるかもだけど、これからもよろしくね！ (2019年10月18日 9時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)
sachi(プロフ) - 梨香さん» えへっ(*´∀｀)梨香ちゃんの書くお話ほんと好きだし☆新作、健ちゃん！ありがとう( ；∀；)嬉しい♪またワクワクして読んでいくね！ (2019年10月12日 16時) (レス) id: 1986c7b750 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：梨香 | 作成日時：2019年9月28日 0時
