春夏秋冬 / _それぞれの恋_

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『美味そうなお稲荷さんやな〜』

鼻をくんくんさせながら
うーん♡ってうっとりしてる…お狐様の第一声。

包みを開いてないのに稲荷寿司だって解るなんて…さすがだな……

そして私の感想は_といえば
"お狐様って関西弁で喋るモノなのっ⁉"…だった

はっきり云って
どれもこれも 予想外 過ぎる…

第1。あまりに人間そのもの過ぎる！
第2。あまりに若すぎる！
そして
第3。……これは…恥ずかしくて言えない…

そうだよ！

だいたい "タイプ過ぎる" なんて。言える訳がない！

だって
……この人は京の都の言い伝え…お狐様なんだもん……

気まぐれで
秋だけ時々.幻のように現れて
そして見えた人に幸せを与える…存在…だもん

いや、確かに
"見てるだけで幸せ"_なんてのは
もしかしたらお狐様の見せる幻影かも知れない

けど

…駄目だ…
私。今。言い伝え…の存在に

ありえないくらい。ドキドキ…してる……

…これも幻影の1つ…って云われたら私は
完璧に幻影に取り憑かれて浮かされてるかも知れない…


『腹減った…それ、食うてもええ？』

_不意に語りかけられて意識戻って

「はっっ！はいっっ！！！」
失礼のないように慌ててお弁当箱を差し出す私

そんな慌てっぷりにお狐様は
ふはっ。と、どこまでも私が好きなお日様みたいな笑顔で笑ってから

"おもろいな自分" そう云うから

私は
導かれたように。
そして、少しだけ浮かされたように

「…私っ！南 四季…と申しますっ‼…」そう名乗ってた


言い伝えのお狐様の正体が

"神様"_なのか
はたまた "あやかし"_なのか

定かではないけれど

それでも女将さんが言った
"会った人は幸せになれる"…っていうのは

どうやら
私の場合も "言い伝えではなかった" らしい_

しかもそれは
"見てるだけでも幸せ"_なんて

なんだか少し…ズルすぎる幸せだ……

さすが
神様、だか、あやかしの力…侮れないｯｯ‼

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