春夏秋冬 / _それぞれの恋_

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『おい！』

……またかよおい！

振り向かなくても声で分かるのはもう慣れたから…

この人が私を呼ぶときはいつも "おい！"

だから私も
「…なに？」無愛想なまま登坂センセイを振り向く

ホントこの人って
なんでいっつもこんなタイミングで現れるの？

この前はガンちゃんに会いに行く前。

そして今日は
やっぱ叶わないな…って思い知った後_

私とガンちゃんの間を隔てたいのかなこの人…

まぁ。
隔てたい…って言ってもなんにもないんだけど…

「なに？今私ものすごく傷心中なんだけど」

プリっと不貞腐れたまま登坂センセイに問い掛ける私

気持ちは
"今私に構ってると八つ当たりされるよ？"的な…？


『は？』

…………何その "は？" って…
私が 「は？」だわ…本当

つくづく思うんだよ…
私とこの人の会話って常に変。

傷心中なの！って生徒が言って
は？…って返すセンセイなんて初めて過ぎるから

ガンちゃんとの事があって
妙な返答されて

イラっとしながらようやくにして見上げる登坂センセイの顔

あーもう。
訳分かんないくせに頭に来るくらいの顔面偏差(#^ω^)

本当無駄すぎる…

そう思ってじっと見たら
登坂センセイはニヤリと笑って

『何？お前傷心中なの？』

何がそんなに楽しいのか嬉しそうに笑った

…なんだコイツ

人が傷心中ってんのにそんな嬉しげに笑うなんて
「傷心中だけど何ｯｯ！」 ……ムカつくｯ


ガンちゃんもこんくらい意地悪だったら
ガンちゃんもこんくらいヤな奴だったら

…こんなに胸痛くならなかったのに…

ガンちゃんの事
好きにならなかったらこんなに…

『おい！何.急に泣いてんだよ!』

…こんなに泣かなくて良かったのに…

急に慌てて私を揺する登坂センセイの腕

振り払おうと思えば振り払えた…と思うのに

しがみついて泣いてしまったのは多分
それくらい何度目かのガンちゃんへの失恋に弱ってた…からで。

決して
登坂センセイに甘えたんじゃない…と信じたい...

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