【五条悟】パシリやめてもらっていいすか？ (完結) (ページ34)

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17:35 差出人、五条さん『どこ行った？』

17:43差出人、五条さん『まじでどこ行った？』

18:03差出人、五条さん『携帯見ろや！』

ーー携帯なんか見てないよ。必死で走ってたんだし。
と、返信は返さずに携帯を閉じる頃には呼吸も落ち着いてきていて私はゆっくりとその場に立った。スネにこびりついている小石をパパっと払うために前かがみになっていると背後からいきなり「ピンクかー。」と男の人の声が真後ろから聞こえて私は思わず仰け反りながら叫んだ。

『ｷﾞｬｰｰｰｰｰ!!!』

薄暗い人っ気の無いことを確認していたからこその驚きと、数分前まで酷使した下半身の疲労からなのか膝の力が抜けてしまい、私はその場に前のめりに倒れ込んだ。勿論、地面は硬い硬いコンクリートである為に私は膝と掌をそれに擦って血を流す。

『痛いーーーー！あーーーーん！！！もーーやだーーー！』

子供のようにワンワン泣き出して抑えようにもそれが出来ない。倒れたせいでパンツが丸見えだろうがそんなことはもうどうでもいい。
ていうか何でいるの？何でそんなに私に構うの？……五条さん。

五条「何もそんな泣かなくても…」

うつ伏せ状態の後ろから五条さんが私に近付いてきて、ワンピースの裾を掴んで丸見えのパンツを隠してくれる。そうしてから、私の前へと移動をして「子供かよ」と溜め息を付きながら私の両脇を掴んでヒョイッと軽々しく持ち上げた。

五条「あらら。膝擦りむいちゃってる」

潤んだ視界の下には、五条さんがしゃがみこみながら私の膝の傷から出ている血をなんの躊躇いもなく親指で拭っている。
何でそんなことが当然のように出来るのかが理解出来ない。

『手が……ﾋｯｸ……汚れますよ……』

五条「いーんだよ。」

『何で……ここがわかるんですか……。』

五条「俺だから。」

涙が漸く引っ込んできたと感じながら鼻水を啜っていると五条さんが立ち上がり、私を見下ろしていた。こうして面と向かっていると、私の目線の位置が五条さんの胸元辺りでこんな状況でもこの人背が高いなんて呑気な思考が浮かんでくる。

五条「怒ってんの？」

『……ん』

ーー怒ってる？……そうだ。私は怒っていたんだ。1時間前、私は公衆の面前でファーストキスをこの男に奪われたんだ。言ったじゃん、前にさ。私はロマンチックな海辺でお互い愛し合っている異性と静かで優しいキスがしたかったんだって。

なのに、全くもって当てはまらない状況下でそれをぶち壊されたんだ。