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ーー無一文で寮から飛び出して来たAは高専から少し離れた人気(ひとけ)の無い公園のブランコに座り、口を尖らせながら物思いに耽っていた。


揺らす度にキィキィと音が鳴るブランコの鎖は錆び付いていて、長い間誰からも手入れをされていない事が分かる。


『はぁ……』


図星な事を言われて泣いて飛び出して来るとか子供かよ……。

恥ずかしすぎる。…次会ったらどんな顔をすればいいんだろう。


ーーいや、もしかしたら次は無いのかも…。


きっと呆れられて今までみたいに相手にされなかったりして……。

と、パシリ扱いにされながらも五条さんとやり取りできた日々は楽しかったなと思い返すと目頭が熱くなってきてしまう。

『…………。』


ーー弱い自分が情けないし、悔しい。周りの皆が化け物みたいに強すぎるせいなのか、自分の実力がちっぽけに見えてしまう。

高専を卒業する頃には1級にでもなって、フリーとしてやっていきたいなんて思ってたけど私には先の遠すぎる話だな……。


このままだったら補助監督ってのが無難かもしれない……。



グゥ〜




『…………。』



ーー気分は落ち込んでいても腹は減るんだな。
お金も持ってきていないし、ここは黙って戻った方が良さそうだな。


ってか報告書も提出し忘れてるし!!


ってかてか、その報告書も夏油さんの部屋に置きっぱなしな気がする!!!


と、Aは再び自分のこうゆう所が抜けているんだなとガックリと肩を落としながら高専へと戻って行った。

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作者名:シレン | 作者ホームページ:http://lyze.jp/hellomalco/  
作成日時:2021年2月15日 16時

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