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五条「A〜、はい、コレ。」
『……30円足りないんですけど。』
五条「え?いいじゃんそんくらい。」
『……だってこの前もその前もいつも足りない……』
五条「たーのーむーよ。」
『……はぁ。パシリさせんの辞めてもらっていいですかね。ジュースくらい自分で買……』
五条「Aと俺の仲じゃん?」
『…………。』
ーー五条さんから100円玉を渡される際に触れ合ったその指先はヒンヤリと冷たく、会話を交わすだけで熱を帯びた私の心はそれに冷やされるどころか益々熱を発してしまう。
この人はいつもこうだ。私を見つけては寄って集って何かと注文をつけてくる。いざ目の前にして顔を合わせてしまうと私の顔面は噴火直前の火山のように火柱をあげて真っ赤になってしまいそうになるのを見られたくなくて、彼が居そうなところはなるべく避けているというのに何故だか毎回こうしてバッタリと会ってしまうのだ。
表情には絶ッ対に出さないけどな。
『……で。どこに持ってきゃいいんすか。』
五条「ん〜。いつものとこー♪」
『……了解』
ヒラヒラと手を振り、親友の夏油さんと共に何処かへ歩いて行く2人の後ろ姿を無表情で見つめる。
…………背、高っ。
2人が曲がり角を曲がったのを見送り、私は盛大に溜め息をつきながらその場にガックリとしゃがみこんだ。
ーー私は五条さんの1つ下で、呪術高専に通う1年生だ。
特殊な環境下に身を置いてはいるものの、想像していた学生生活の中で私が周りと違う事は1つ……。
私は、五条悟にパシられている。
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作者名:シレン | 作者ホームページ:http://lyze.jp/hellomalco/
作成日時:2021年2月15日 16時