それでも…___君がいい。 (ページ1)

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オーディションページ1

私の名前はミン・ノラ。20歳の現代舞踊専攻の大学院生である。父は幼い頃に亡くなり、今は母と弟の3人で暮らしている。
夢は渡米しブロードウェイに立つ事。自分の実力を上げるため練習室の鏡と向き合うのが日課となっていた。

とある日、高校時代からの友人であるソヨンがある男性グループのMVを見せてきた。それは今や世界的に有名になったBTSとよばれるグループ。
その時私は初めて彼らの音楽に触れたのだった。

圧倒的センスのダンスパフォーマンス。
誰もを魅了するリズミカルなラップパート。
そして、

どこまでも透き通るような繊細な歌声。

様々な色や形に変化するその歌声に私はまるで魔法にでもかけられたかの様に恋をした。
まるで小学生の時に初めて人を好きになった、まさにその瞬間だった。

今まで全く興味がなったはずのアイドルグループに私は初めてハマってしまったのだ___。

_____

「ノラ！」

講義が終わり練習室に篭り月末に公演予定であるパフォーマンスの振り付けを確認していると、ガラス張りの扉が勢いよく開かれた。
興奮して顔を赤くしているソヨンがノラの元へと駆け寄ってくると一枚の紙を見せられた。

「ご、合格した！」

それはBig Hitオーディション合格通知だった。ソヨンはだんだんと涙目になっていき驚きで固まっていたノラに飛びつく。その衝撃でハッと我に変えると思いっきり彼女を抱きしめた。

「お、おめでとうソヨン！！やっとあなたの魅了を披露できる場所にいけるね！本当におめでとう！」
「ありがとう、ノラのおかげだよ！…でも厳しくなるのはこれからだよね。気合いれないと！」

頬に手を当てて気合いを入れようとする彼女だったが、やはり顔はニヤけており2人で顔を見合わせて笑ったのだった。

彼女はモデル並みにスタイルも良いし、顔も嫌味なくらい整っている。更にはその歌唱力は学院内上位に入るくらいの腕前だった。しかしながらどうにも身体が硬くダンスが苦手だったのだ。だから、行動過程の現代舞踊科主席で卒業したノラが手取り足取り教え彼女の苦手を克服させた。

「そうだ先生に報告してこないと！またねノラ！練習頑張れ！」

ソヨンは大きく手を振り練習室をでていく。ノラはその背中を見ながら小さくため息をついた。

正直羨ましかった。
自分には無いものを沢山持っている彼女に。
___彼女の様になりたいと思ってしまった自分が悔しかった。