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彼の家へ続く道の途中のコンビニで私は一人腰を下ろす。
スマホで時間を確認するとそろそろ赤葦がくる時間だった。
私は無我夢中だったのだ。
待ち伏せだなんて面倒くさいしうざいし、自覚はあるのだけれど会いたかったのだ。
しばらくその場でしゃがみこんでじっと空を眺めていると。
「……!A、?」
大好きな声が、降ってきた。
「……えへ、」
「ちょっと、なにして……」
驚いた様子の彼は普段あまり見せない戸惑い方をしていた。それが見れただけでも嬉しかった。
「ごめん、赤葦に、その……会い、たくて」
なんだか恥ずかしくて、籠ってしまった声は少し震えた。
表情を見るのが怖くてじっと地面を見つめていると、ボトっと大きな音とともに彼の手から荷物が落ちた。
瞬間、彼の匂いに包まれた。
「えっ、あかあ……」
「ごめん、もうちょっとこのままいさせて」
ぎゅーーっと、私を抱きしめる力が強くなる。
よく状況が理解できていなかったけれど、ただ、幸せであることは確かだった。
「……A、」
「ん?」
彼は小さな声で呟いた。
「すき、だよ」と。
彼の大きな、冷たい手が私の頬に触れた。
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作者名:はあろ | 作成日時:2017年12月22日 23時