【刀剣乱舞】はじめまして、こんにちは。 (ページ19)

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朱、十九塗り　一期一振の小希望ページ19

「…やべぇ」
「如何されました」
「政府が来る」
「政府…？」

主殿が、一番恐れているものらしい。文を握り締め、顔が強張っている。
私を突き飛ばし、大広間に大股で向かっていく主殿の後ろを私も慌てて付いて行く。

「テメェら！月末は部屋から出てくんじゃねぇぞ！！出たら見せしめに折るからな！」

弟達を脅し、燭台切殿が命名したらしい、夕陽と呼ばれるニンゲンを大声を上げながら探している。

「一兄、夕陽は…」
「いけません、ニンゲンなのですよ」
「ちが…ボクの櫛持ってるの、夕陽なの」

前任の主が、乱に送った櫛を、夕陽が持っているらしい。
前に髪を解かして貰ったが、厚が止めに入った為、夕陽が持っているのだと。

「一兄、俺の憶測だが、夕陽は」
「お黙りなさい薬研。私の前でニンゲンの話はしないでください」

夕陽なんて、ニンゲンなんてどうなろうと知ったことではない。弟達に危害さえ来なければどうだって良い。

「一期一振！あのニンゲン何処行ったか探してこい！！さっさとしねぇと一本ずつ折ってくぞ！！！」

この主が言うことはほぼ脅しか罵声のどちらかで、誉を取っても誉められたことなんて無い。

「一兄様…」
「太刀の部屋に行っておきなさい。夕陽を探してきます」
「一兄、夕陽は縁側だ。すぐ分かる」

厚が示した先には、名の通りの赤毛を風に揺らす夕陽がいた。

「夕陽殿」
「？初めまして」
「何を仰ってるのです。良いからさっさと来て頂けますか」

弟達を失いたくないので、とは言わなかった。
手を差し出すと、戸惑いながらも手を取ってゆっくり立ち上がる。

「？なんです」
「顔、強張ってますよ？何かあったのですか？」
「貴方には、関係ありません！」

引き摺るように主の部屋に連れていき、主を呼ぶと入れと言われた。

「連れてきました」
「夕陽よぉ、テメェ勝手に刀治してるそうじゃねぇか」
「？夕陽と言うのは……どちら様の事でしょうか」
「惚けんじゃねぇよ！！」

主の容赦ない蹴りが、夕陽殿の腹部に直撃する。

ちょっと待て、勝手に刀を治してる………？