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あの日感じたものが何かわからないまま、ただ時が流れていった。
「Aさんっ、ちょっと話したいことがあるんです」
ああ、ついに来てしまったか。
話したい内容というのはどうせふくらが好きとかそういったことだろう。息が詰まったように苦しい。
今はオフィスに誰もいない。みんな買い出しなどで外出中だ。何か言いにくいことを話す場所としては最適だ。
「……いいよ」
そう言ったはいいものの、彼女は何も言い出さない。照れているのか顔がとても赤い。
そんなにふくらさんが好きなのか……と少し苛々してきた。
「じ、実は_______が____」
「え？ 」
「実は私、女の人が好きなんですっ！ 」
予想していた言葉とは全く違う彼女の発言に、私は混乱してしまった。彼女は、ああ言ってしまったといった風に私から目を逸らした。
「オフィスに初めて来たときからずっとAさんのことが好きで……ずっと思いを伝えたかったんです」
あまりの衝撃で声すら出なかった。彼女の目は涙で滲んでいる。私に軽蔑されたと思っているのかもしれない。
「気持ち悪いですよね……ごめんなさい、もうこんな変なこと言わないのでっ」
そう言ってこの部屋からいなくなろうとした彼女の手を掴んだ。
「え？ 」
「……気持ち悪いなんて思わないよ、むしろ嬉しい」
私はそう言って彼女を抱きしめた。彼女はどうやら泣いているらしい。
背中に手を回してきたので、もう少し抱きしめる力を強くして、私の顔が見えないような体勢にした。
「……っふ」
彼女に聞こえない声の大きさで笑う。私の視線の先には、驚いた顔で固まっているふくらさんがいた。
どうやら、ちょうど帰ってきたらしい。私たちの会話を全て聞いていたようだ。
抱きついている彼女を驚いたように見た後、私をすごい目つきで睨んできた。
ああ、その顔だ。
あの日から、ずうっと私はふくらさんのその顔が見たかった！
嫉妬に塗れた顔さえ愛おしい。振り向いてもらえなくても、ふくらさんが私を見ているのならばそれでいい。
ふくらさんが、彼女が同性愛者でも思いを諦めきれなかったことに感謝するしかない。
そのおかげで、私のことを見てくれているんだから！
「愛してるよ」
ふくらさん。
「私もっ、Aさんのこと大好きです！ 」
この女は邪魔だけど、彼に私を見てもらうために利用させてもらう。
ああ、なんて幸せなんだろう。
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匿名 - 偶然こちらの作品に出会い一気読みしました、どれも個性強くてすごく好きなお話です…！動画外メンバーさんのお話が読めてとても嬉しいです。これからの更新を楽しみにしています！ (2020年11月16日 23時) (
レス) id: e8c8d904dc (このIDを非表示/違反報告)
空蝉(プロフ) - 反応遅れてすみません！めっっちゃ良かったですありがとうございました！ (2020年4月25日 23時) (レス) id: c1259f568e (このIDを非表示/違反報告)
すずかぜ(プロフ) - いろさん» ありがとうございますっ!!!絶対かっこいいですよねわかります…… (2020年4月21日 15時) (レス) id: a1f34fb80a (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - ああ…初々しい好き…myhrさんの甘い顔とか絶対かっこいい…好きです… (2020年4月21日 12時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)
すずかぜ(プロフ) - 空蝉さん» リクエストありがとうございます！もちろん書かせていただきますよ!!!初々しいのいいですよね〜 (2020年4月21日 11時) (レス) id: a1f34fb80a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すずかぜ | 作成日時：2020年4月16日 19時
