君を食べさせて VI ページ40
「…最初から、2人で一緒にご飯食べに行こうって誘いだったの。最初は断ってたんだけど、申し訳なくなって、一緒に行ったことがあって」
「うん」
「話題とか趣味とか、一緒にいることがあんまり苦じゃなくて、むしろ楽しくて」
「うん、」
「でもとわがすき。だから付き合ってる。だけど、彼から好きだって言われた時、好きかもしれないって」
「そっか」
「……なんで、怒ってよ。浮気だよ」
「怒らへんよ。」
目の前に置かれた珈琲に手を掛ける。予想はしていた。そして、嫌にも、自分の性格が出てきてしまった。
彼女の意図はちゃんと汲めた。
「嫌って欲しい」だから、怒ってほしい。
でも、自分にはその資格はない。つい最近、俺も「嫌われたい」と心の隅で思っていた。
似たもの同士なのだ。皮肉にも。
「A」
綺麗に涙を零しているAを見つめた。
変わったよ、俺は。
「君が幸せならそれでいい。俺はそれだけでええ。高校んとき言うたよな？……それなりの時になったら言うよって」
今なら言える。
「俺を、食べてええよ」
心底、そう思う。
君の一部、なんてヤンデレみたいなことは言わへんけど、本当に、君が今までで一番美味い肉だったって笑ってくれたら、なんて幸せだろう。
なんて幸せな人生だっただろう。
Aは一瞬目を見開いたが、すぐに目を閉じた。零れ落ちる涙が机にぽつりと落下する。
「私知ってたよ」
「え」
「とわがいつかそのセリフを言う時は、私を誰より愛してくれてて、私の幸せを願っているってこと。でもね、」
違うよ。
Aが顔を上げた。
「愛してるって、伝えてよ」
自分の頬から涙がこぼれ落ちて飲みかけの珈琲に混ざった。
愛してるなんて、
「……怖いに決まってるだろ。…ふざけんなよ、俺は誰よりAを、誰にも渡したくないってずっと、ずうっと思ってたよ！」
前のめりに立ち上がる。
「俺は、"愛してる"なんてもんじゃねぇんだよ！」
苦しかったんだ。怖ったんだ。
伝えてしまえば、彼女の愛の形で飲み込まれてしまうから。
それなら、ずっと先延ばしにして、嫌がるくらい傍に居てしまえば、どんなに楽だろう。
「ほら、貴方の本音」
「っ、え」
素敵だよ、と彼女は頬を染めてふにゃりと笑った。昔と変わらない、無邪気な笑顔。
「やっと食べれた。貴方の心」
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狩人ノ影*(プロフ) - 似鳥さん» 本当に遅くなって申し訳ありません。リクエストありがとうございました！！ (2017年11月26日 16時) (
レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
似鳥 - 時間かかっても私は大丈夫です！ (2017年11月7日 9時) (レス) id: da11736049 (このIDを非表示/違反報告)
狩人ノ影*(プロフ) - 似鳥さん» コメントありがとうございます！リクエスト嬉しいです(*´ｰ`*)少し時間がかかってしまうかもしれませんが、承りました。 (2017年11月5日 20時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
似鳥 - こんばんは、初めまして似鳥です。小説が凄く面白くてリクエストしたくなったのですが、towacoさんとフルニキによる夢主の取り合いとか出来ますかね…？ (2017年11月4日 21時) (レス) id: da11736049 (このIDを非表示/違反報告)
狩人ノ影*(プロフ) - あかぺそさん» 温かいコメントありがとうございます！そう言ってもらえると本当に嬉しいです…試行錯誤して読みやすいように心がけているので本当に嬉しいです(´ω`)読んでもらってありがとうございました。 (2016年11月14日 20時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩人ノ影* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tomoka0315/
作成日時：2016年10月24日 2時
