fuji ＊年越し ページ11
「A起きてよ」
「んぅ…」
俺の彼女はこたつに入ったまま寝息をたてている。初めての二人で年越し、折角だから二人とも起きたまま迎えたいわけで。
「にしても、可愛いなぁ」
やっとのことで手にいれた彼女。高校で一目惚れして、あの手この手でアプローチして。割と鈍い彼女の「お気に入り」になりたくて必死だった。
告白は、彼女からだった。
どうやら、オレには好きな人がいて叶わない恋だと思ったらしい。それならいっそ、想いを伝えてしまおうと考えたというのを2度目のデートで聞いた。
「……プロポーズは、ちゃんと俺からしないとな」
大学まで一緒に進んだ彼女が東京で就職する、と聞いた時はもう必死だった。すぐに志望先を変えて全部東京にした。
一緒に住もうか。
そう言ったのも彼女で。
「ほんと、マジでプロポーズだけは…」
プロポーズ、だけは。
「ん」
「あ、起きた？おはよう」
「…あっよかったまだ年越してないね。よかったー…フジと一緒に迎える初めての年越し逃すとこだったね。」
「ふふ、まだ大丈夫だよ」
笑顔の彼女についつい顔がニヤけてしまう。目の前に置かれた彼女特製のコーヒーを持ち上げ、慌てて流し込んだ。
「あのね、フジ。私、言いたいことがあるの。」
「ん、何？」
「あのね…」
口篭る。そんなに言いづらいことなのかと俺もちょっと身構えた。
ふと、先程まで回想していた思い出が蘇る。ごくりと唾を飲んだ。
「私と」
私と？
「待って！！」
気付かぬうちに、俺は大声を出していた。きょとんとしている彼女を他所に「先に言わせて」と念を押す。
「俺と、」
ぐっと恥ずかしさを飲み込んだ。
「結婚して下さい」
「…………えっ」
「えっ」
何言ってんのというような顔。
彼女は状況を理解するとぶわっと顔を赤くした。耳迄赤くして。
「えっふじ、なんで今？」
「……ん？A今結婚して下さいって言おうとしたんじゃないの？」
「ちっ、違うよ！私と一緒に東京来てくれてありがとうって、大好きって言いたかったの！あっ、」
嗚呼、可愛い。
自分の愚かさなんて投げ捨てて、彼女を抱きしめた。狼狽える彼女の細い背中に手を回し、強く、自分の体に縫い付けた。
「ふじ…？」
「ごめん、勘違いだった。だから、もう一度言うね。…俺と結婚して下さい」
少ししてふわりと、俺の背中に回される小さな腕。
「……はい、喜んで。」
kirin ＊年明け→←sepia ＊君死にたまふことなかれ
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狩人ノ影*(プロフ) - 似鳥さん» 本当に遅くなって申し訳ありません。リクエストありがとうございました！！ (2017年11月26日 16時) (
レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
似鳥 - 時間かかっても私は大丈夫です！ (2017年11月7日 9時) (レス) id: da11736049 (このIDを非表示/違反報告)
狩人ノ影*(プロフ) - 似鳥さん» コメントありがとうございます！リクエスト嬉しいです(*´ｰ`*)少し時間がかかってしまうかもしれませんが、承りました。 (2017年11月5日 20時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
似鳥 - こんばんは、初めまして似鳥です。小説が凄く面白くてリクエストしたくなったのですが、towacoさんとフルニキによる夢主の取り合いとか出来ますかね…？ (2017年11月4日 21時) (レス) id: da11736049 (このIDを非表示/違反報告)
狩人ノ影*(プロフ) - あかぺそさん» 温かいコメントありがとうございます！そう言ってもらえると本当に嬉しいです…試行錯誤して読みやすいように心がけているので本当に嬉しいです(´ω`)読んでもらってありがとうございました。 (2016年11月14日 20時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩人ノ影* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tomoka0315/
作成日時：2016年10月24日 2時
