平行線 【ymin】

008 ym ページ8

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『おい！一睡も出来なかったじゃねえかよ！』という彼の声で、モニターの前にいたメンバーが笑っている。

毎回恒例の、彼が明日の朝早いのに寝せないくだり。
俺はその輪には加わらず、ただ遠いところから横目で伺うだけ。


_____なんだよ。全然、普通じゃん。


俺は出来るだけスタジオに居たくなくて、スタンバイの度にトイレに行ったり、用もないのに楽屋に行ったりしていたというのに。

伊野尾ちゃんはいつのまにかすっかりいつもの調子に戻っている。

俺との会話は一切無いけれど。いや、こんなの元々か。








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『久しぶりにこんな早くに終わったよね』だなんて私服姿のヒカがコーヒーを飲みながら呟く。


順調に撮り終わって予定よりも巻きで終わった。


早く終わったのなら帰ればいいのに、なんだかんだでメンバー全員がまだ楽屋に残ってグダっていて、俺もまた、着替えたもののぼーっとしていた。


『そういえばさ、』とそれまで携帯をいじっていた大ちゃんが声を上げる。




『明後日のジャケット撮影、ペアらしいよ？』

「ペア？ジャケットなのに？」

『うん、さっきスタッフさんたちが話してるの聞いちゃって。あ、でもジャケットっていうかあの〜CDケース開けた右側の紙あるじゃん。なんて言うんだっけ』

『バックインレイ？』

『あ！そうそう、そんな感じの！流石薮ちゃん！…で、そこがペアになるらしいよ？確か。にーにーにーにの四ペアで』




『へえ、面白いことするんだねえ。確かに今回珍しく四形態リリースだもんね』と納得した様子を見せたのは、俺の隣に座っている裕翔だった。




『ペアってどうやって決めるんだろうね。俺たちの中でせーの！で指差しとか？』

『いや、それ選ばれなかったら切ないだろ』

『だ〜〜いじょうぶ。薮くんは光くんって相場が決ま
ってるんだから！やぶひかは絶対二人で撮ってよね』

『出た、強火やぶひか担の裕翔。ブレないねぇ』




裕翔の発言に、声高らかに笑うのは雄也だ。もう秋だというのにまだ足元はサンダルで素直に寒そうだな、なんて思った。



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…もしも本当に自分たちで決められるとしたら。

伊野尾ちゃんは大ちゃんか雄也とでも撮るんだろうなと思ったし、俺はきっと知念か裕翔だろうなと思っていた。

だから知念がこんなことを言い出した時、心臓が止まるかと思った。





『ってか宏太とヒカで撮るならさ、あのユニットで撮れば良くない？ファンファーレの時の』




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