046 hk ページ46
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「おっつぅー!」と楽屋に入ると、中にいたのは知念だけだった。
「ありゃ、知念だけなの」
『うん、まだね。ってかその挨拶なに』
「俺の流行りなんだよ。全然流行んねえけど」
『昨日宏太もやってたよ』
「マジで。ってか何、また薮と飯行ってんの」
…なんて、わざわざ聞かなくても飯に行っていることは知っている。毎回律儀に知念と飯ですって連絡くれるから。
『だって涼介が最近また付き合い悪くて』
そりゃ今、まるで新婚さんみたいにラブラブだからな、あの二人。仕事場では隠すって決めたみたいだけど、バレるのも時間の問題だと思う。
ってか、それなら薮を誘うな。大ちゃんを誘えっつーの。
なんて思うけれど、言ってしまえばこれまでが全て水の泡になってしまいそうなので心の中にグッと押し留める。
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これまで。
いのちゃんが、一ヶ月前、突然目覚めた不思議な力を使って、自分も含め、周りの関係性をみるみる変えていった、これまで。
なんでその力が目覚めたのかは未だに謎のままだけれど、本人曰く『たぶん変なものでも食べたんじゃない?』…そういうとこは相変わらずテキトーだ。
でも俺がこれまで抱えてた問題も解決してくれちゃうし、きっと彼だから上手く使いこなせたんだろう。
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特に。
大ちゃんを上手く挑発して山田に告白させたという話が、最終的に知念と大ちゃんを結ばせるための一手だったとは驚いた。
『大団円かなーなんて思った』とあっけらかんと言ってのけていたけれど、絶対そこまで計算して振る舞っていたはず。
…敵に回したくない、いのちゃんだけは。
二人はどうなったんだろう。
いのちゃんに言われて、俺がお邪魔しに行ったご飯の時はいい雰囲気だったけれど。
なんて考えていると、大ちゃんが『はよー!』と元気に登場した。知念の隣に自然に座って仲睦まじく、まるで恋人のように…って、おお?
『あっ、ねえ。ヒカ』
「ん?」
『ありがと。ヒカのおかげ、かも』
俺の耳に口元を寄せてきた知念は、隣をちらりと見てそう言った。
…そうか。なるほど、大ちゃんはもう誘うとかそういう次元じゃないってわけね。
って待って、全部いのちゃんの狙い通り…?怖い…。
とりあえず、ここは"俺っぽく"すっとぼけておこう。
「えっなんのこと?俺、知念に感謝されるようなことしたっけ?」
…ってか。それならなおさら薮のこと誘うのやめてくんねえかな。俺のなんですけどー!?
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めい(プロフ) - 梓実さん» 梓実さん初めまして。コメント有難うございます!ええ、泣いちゃったところ!どこでしょう! 何考えているのか読めないミステリアスな雰囲気を出せたらなと思っていたので、その感想はとっても嬉しいです! お読み頂き有難うございました! (2020年10月20日 12時) (レス) id: 8807fc94fe (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - Kさん» Kさん、こちらこそコメント有難うございました!同担です〜よろしくお願いします!笑 お話の感想も有難うございます! (2020年10月20日 12時) (レス) id: 8807fc94fe (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - みつこさん» みつこさん初めまして。コメント有難うございます!とってもうれしい感想です〜泣 こちらこそ最後までお読みいただき有難うございました! (2020年10月20日 12時) (レス) id: 8807fc94fe (このIDを非表示/違反報告)
梓実(プロフ) - とっても面白い作品でした!!思わず泣いてしまうところがあって…あんなに泣いたのは久しぶりです笑一瞬伊野ちゃんが怖かったのですが、なんだか安心しました笑笑 今からもう一度読み直してこようと思います!素敵な作品を、ありがとうございました!! (2020年10月19日 21時) (レス) id: 56b32f15d6 (このIDを非表示/違反報告)
K - お返事頂けるなんて嬉しいです!正直同担なのが嬉しくて勢いで送ってしまっていたので笑お話とても面白かったです!ありがとうございました!! (2020年10月17日 19時) (レス) id: 30c662d0e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めい | 作成日時:2020年10月4日 19時