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俺は、ラックにかけていた自分のコートのポケットを探る。確かここに入れた気が、
_____あった。
『んぅ?何?』
「これ、良かったら」
伊野尾ちゃんに渡したのは一昨日の料理屋さんで貰った飴だった。銀色の包装がキラキラと蛍光灯の光に反射する。
「マネージャーに買ってきてもらうにもちょっと時間かかるでしょ。ご飯食べた店で貰ったんだけど、多分普通にのど飴だと思うから」
『ふぅん…?じゃあ、有り難くいただきます』
彼はその場で包装を破って、口の中に飴を放り込んだ。ゴミは着ているコートのポケットに突っ込んでいる。
『お、はちみつレモン味』
「そっか。良かった」
『ありがとね、山田』
「ん。じゃあ俺昼休憩行ってくるね」
俺と伊野尾ちゃんの、メンバーとしての、最低限の、最小限の会話。
ここで大ちゃんだったらひとふざけが入るだろうし、知念だとくっついたりするんだろう。
だけど、俺と伊野尾ちゃんに限って、そんなことはない。
それでも今日はいつもよりは多く喋れた方だなぁ、なんて。
彼が口の中で飴を器用に転がすコロンコロンという音を聞きながら、俺は少しだけ浮ついた心持ちで、ケータリングルームへと向かった。
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俺が昼休憩を終えて楽屋に戻ると、そこには衣装に袖を通した裕翔の姿があった。
大ちゃんと知念がゲームをしているのを台本片手に楽しそうに見ている。
「裕翔だ〜お疲れ様。はやいね」
『やま!おはよー!今日調子良くってさ、ちょっと巻いてきちゃったんだー』
「そっか。今ってまだ雄也?戻ってきてない?」
『うん。高木くんだね。でー、いのちゃんで、俺だから。まだまだ先は長いよねぇ』
「長いねぇ」
ふと楽屋を見回すと、朝はヒカが横になっていた奥のソファで伊野尾ちゃんが休んでいる。
どうやら追いやられたヒカは、近くにあった別のソファで休んでいる。
二人ともまるで猫みたいに、器用に小さく丸まっていた。
『涼介ーゲームしよ』
『山田ぁ、対戦ー』
「あ、するするー」
知念と大ちゃんに声をかけられて荷物からゲーム機を取り出した時、雄也が帰ってきた。
『あれ、裕翔だ!お疲れさん』
『ありがとー今日はやく終わったんだ』
『そうなんだ。伊野尾くーん、出番だよー』
彼は雄也の呼びかけでゆっくり起き上がって『…ほぉーい』とまぶたを擦りながら楽屋を出て行った。
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めい(プロフ) - 梓実さん» 梓実さん初めまして。コメント有難うございます!ええ、泣いちゃったところ!どこでしょう! 何考えているのか読めないミステリアスな雰囲気を出せたらなと思っていたので、その感想はとっても嬉しいです! お読み頂き有難うございました! (2020年10月20日 12時) (レス) id: 8807fc94fe (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - Kさん» Kさん、こちらこそコメント有難うございました!同担です〜よろしくお願いします!笑 お話の感想も有難うございます! (2020年10月20日 12時) (レス) id: 8807fc94fe (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - みつこさん» みつこさん初めまして。コメント有難うございます!とってもうれしい感想です〜泣 こちらこそ最後までお読みいただき有難うございました! (2020年10月20日 12時) (レス) id: 8807fc94fe (このIDを非表示/違反報告)
梓実(プロフ) - とっても面白い作品でした!!思わず泣いてしまうところがあって…あんなに泣いたのは久しぶりです笑一瞬伊野ちゃんが怖かったのですが、なんだか安心しました笑笑 今からもう一度読み直してこようと思います!素敵な作品を、ありがとうございました!! (2020年10月19日 21時) (レス) id: 56b32f15d6 (このIDを非表示/違反報告)
K - お返事頂けるなんて嬉しいです!正直同担なのが嬉しくて勢いで送ってしまっていたので笑お話とても面白かったです!ありがとうございました!! (2020年10月17日 19時) (レス) id: 30c662d0e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めい | 作成日時:2020年10月4日 19時