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『お待たせしました、生ビールと日本酒、唐揚げと蟹釜飯おひとつですね』
『あざま〜す！あっこれも、はい』
店員さんにあざと可愛くコテンと首を傾げながら、さっき空けていた日本酒のグラスを渡す彼はいつもの彼だけど。
俺は、頭の中でぐるぐると考えていた。
"何を考えているか分からなくて怖い"
そう大ちゃんと雄也に言わしめたのは、さっきみたいな彼の言動や振る舞いからじゃないかと思ったから。
伊野尾ちゃんは、どうして今日ここに俺を呼んでくれたんだろうか。俺と飲みたい、だなんてなんで。
腕を振り払われた時は、やっぱり嫌われてるんだと思った。
でもここ数日はなんだかおかしい。
距離が一気に近くなってる気もするし、でもそうでもないような。うーん。
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伊野尾ちゃんの指が俺の眉間に触れる。
突然の出来事に、「えっ、」と声が漏れる。
『山田、眉間にシワ寄りすぎ。俺と飲むの嫌だった？…光がいた方が良かったかな』
じっと上目遣いで不安そうに見つめてくる伊野尾ちゃんに、咄嗟に「違う！」と大声を出した。
(…そこは誤解されたくない。伊野尾ちゃんに誘ってもらえて嬉しい)
余りに威勢の良い声にびっくりしていた彼だったけれど、『声が大きいよ、山田』と微笑んで、触れていた指を離した。
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『んぅ〜うめぇ〜〜！』とガツガツ釜飯をかきこむ伊野尾ちゃん。
「伊野尾ちゃんは本当に美味しそうに食べるよね」と言えば、
『だってここのご飯超美味しいんだもん。山田も食べてみる？ほら』と、箸でご飯をつまんで俺の口元へと運ぼうとする。
『いくら晩飯食べてても一口くらいならいけるでしょ、はい。あー…』
「っ…自分で食べる！自分で食べるから！」
『フフッ、やっぱダメかー。山田にあーんしたかったんだけどな〜』
「…伊野尾ちゃん、飲み過ぎでしょ！」
『俺、そんなに飲んでねえよ』とけらけら笑いながらも茶碗と彼が使っていた箸を渡してきて、
まあこれでも間接キスだなとか小学生みたいなことを考えながら一口頬張る。
「…ん！美味しい！俺この店で釜飯食べたの初めてかも！」
『でしょー？…ふふ、間接キスだ』
伊野尾ちゃんの言葉で、米が喉に詰まりかける。
な、何を言い出すんだ、この人は。
とはいえ俺も頭によぎってはいたので強くは言えなくて、
「…っ、バカ！もう伊野尾ちゃんお酒禁止！」と、彼の目の前にあったグラスを奪い取った。
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めい(プロフ) - 梓実さん» 梓実さん初めまして。コメント有難うございます！ええ、泣いちゃったところ！どこでしょう！ 何考えているのか読めないミステリアスな雰囲気を出せたらなと思っていたので、その感想はとっても嬉しいです！ お読み頂き有難うございました！ (2020年10月20日 12時) (
レス) id: 8807fc94fe (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - Kさん» Kさん、こちらこそコメント有難うございました！同担です〜よろしくお願いします！笑 お話の感想も有難うございます！ (2020年10月20日 12時) (レス) id: 8807fc94fe (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - みつこさん» みつこさん初めまして。コメント有難うございます！とってもうれしい感想です〜泣 こちらこそ最後までお読みいただき有難うございました！ (2020年10月20日 12時) (レス) id: 8807fc94fe (このIDを非表示/違反報告)
梓実(プロフ) - とっても面白い作品でした！！思わず泣いてしまうところがあって…あんなに泣いたのは久しぶりです笑一瞬伊野ちゃんが怖かったのですが、なんだか安心しました笑笑 今からもう一度読み直してこようと思います！素敵な作品を、ありがとうございました！！ (2020年10月19日 21時) (レス) id: 56b32f15d6 (このIDを非表示/違反報告)
K - お返事頂けるなんて嬉しいです！正直同担なのが嬉しくて勢いで送ってしまっていたので笑お話とても面白かったです！ありがとうございました！！ (2020年10月17日 19時) (レス) id: 30c662d0e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めい | 作成日時：2020年10月4日 19時
