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間違えた。
間違えた。
そんな後悔、もう遅い。
山田は一瞬で泣きそうな顔をして、部屋を飛び出した。
走り去っていく後ろ姿を見ながら、_____やってしまったと思った。
「…こんなはずじゃ、なかった」
伝えるはずじゃなかった。
ずっと、黙っておくはずだった。
ただ、お前なら大丈夫だと言ってあげるつもりだった。
俺はちゃんと、俺の役割を全うしようと思っていたのに。
どれもこれも全部。昨日の、いのちゃんのせいだ。
全部、いのちゃんのせい。だ。
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山田の話をし始めた時から嫌な予感はしていた。
止めたかった。でも止めたくても、あの時あの場所は。
彼特有の掴み所のない不思議な雰囲気に包まれていて、口なんか挟めなかった。
_____『なんか俺、山田のこと欲しくなっちゃったなぁ』
_____『早く俺のものにならないかなぁ、なんて』
うっとりとワイングラスを見つめた瞳のその奥に、熱い何かを感じ取る。
…これが冗談でないことくらいすぐに分かった。
それが分かるから、俺も、高木も言葉を発せない。
そして。このまま行けば二人が上手くいってしまうことも、俺には分かる。
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表通りでなかなかタクシーが捕まらなかった。
奥の方で、高木が山田に何やら話し込んでいるのはなんとなく視界の隅に捉えていた。
高木はさっきのことを何か伝えるんだろうか。
山田、大丈夫かな。
複雑な気持ちでいっぱいになりつつも、手をあげるという古典的な方法でタクシーを呼び込む。
一方、隣の…俺をこんな複雑な気持ちにさせた張本人は、呼び込むことなく『ねーねー、大ちゃんー』と挙げていない方の腕を引っ張って話しかけてくる。
「んだよ。…タクシー捕まえんの手伝えって」
『時期に止まるってぇ、それよりさぁ。大ちゃんっていつもどうやって山田をご飯に誘ってるのかなと思って。教えてよ』
「…やだ」
『ぇ〜？教えてよ〜』
「普通に電話とかで誘えばいいだろ。山田もいのちゃんの誘いなら断らないよ」
そう言いつつも、山田行かなきゃいいのにな、なんて俺の中から真っ黒い感情が顔を出す。
っておいおい、俺はもう応援するって決めて。伝えないって決めて。それで。
_____でも。もしもわざと同じ日にしたら、山田はどっちを選んでくれるんだろうか。
いのちゃんに負けるかな。…俺にしてくれないかな。
『…そうだねぇ。俺のところに来てくれるかなぁ』
「…っ、え？」
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めい(プロフ) - 梓実さん» 梓実さん初めまして。コメント有難うございます！ええ、泣いちゃったところ！どこでしょう！ 何考えているのか読めないミステリアスな雰囲気を出せたらなと思っていたので、その感想はとっても嬉しいです！ お読み頂き有難うございました！ (2020年10月20日 12時) (
レス) id: 8807fc94fe (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - Kさん» Kさん、こちらこそコメント有難うございました！同担です〜よろしくお願いします！笑 お話の感想も有難うございます！ (2020年10月20日 12時) (レス) id: 8807fc94fe (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - みつこさん» みつこさん初めまして。コメント有難うございます！とってもうれしい感想です〜泣 こちらこそ最後までお読みいただき有難うございました！ (2020年10月20日 12時) (レス) id: 8807fc94fe (このIDを非表示/違反報告)
梓実(プロフ) - とっても面白い作品でした！！思わず泣いてしまうところがあって…あんなに泣いたのは久しぶりです笑一瞬伊野ちゃんが怖かったのですが、なんだか安心しました笑笑 今からもう一度読み直してこようと思います！素敵な作品を、ありがとうございました！！ (2020年10月19日 21時) (レス) id: 56b32f15d6 (このIDを非表示/違反報告)
K - お返事頂けるなんて嬉しいです！正直同担なのが嬉しくて勢いで送ってしまっていたので笑お話とても面白かったです！ありがとうございました！！ (2020年10月17日 19時) (レス) id: 30c662d0e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めい | 作成日時：2020年10月4日 19時
