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『大ちゃん!ほら!行こ!』とスタジオへ軽快なスキップで戻る山田の後ろ姿にごめんな、と心の中で呟く。
_____なあ、山田。今回のペア、俺がスタッフさんに言ったんじゃなくていのちゃんの一言がきっかけなんだよ。
お前、それ聞いたらどんな顔したんだろうか。顔、真っ赤にして喜んだのかな。
言えなくて、ごめんな。
伝えてしまったら今すぐにでも何かが変わってしまうんじゃないかと怖くなったんだ。
怖くなったんだよ。
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山田が楽屋で青白い顔して寝ている時。
俺たちは起こさないように、と隣の部屋に移動して、スタッフさんからの指示を受けていた。
この間俺が聞いていた通り、今回のジャケットはペアでの撮影で、予想と違ったのは俺たち自身でペアを決められるというところだった。
『どうする?』『あみだくじでもする?』と優柔不断な俺たちはペアを決めあぐねていた。そんな時。
『あのさぁ』
「なに?いのちゃん」
『俺、こないだ知念が言ってたユニットのペアでいいと思うんだけど駄目かな』
ドキッとした。普段、積極的に意見を出さない人なのに。しかも、この提案は。
最初に乗っかったのは、光くんだった。
『いいんじゃない?俺もいのちゃんの意見に賛成ー。みんなは?』
『うん!高木くんだとワイルドに撮れそう』
『まあ、大貴でもいっか』
『薮と高木は?どうかな?』
『いいよ、俺は光で』
『裕翔と撮ってみたかったんだよね』
『…大ちゃんは?』
みんながいいと言っているのに、俺だけ嫌だなんて言えない。
それにいのちゃんも山田と撮れたら嬉しいよね、だなんて、さも二人で撮ればいいような話題を投げたこともある。
それは、山田の為を思って言ったことだったけれど。
だっていのちゃんとのジャケット撮影なんて、絶対喜ぶと思ったから。
「……いいよ」
『…じゃあ決まりね。俺、もう少し山田のこと寝かせておきたいから、撮影は一番最後でもいいかな?』
_____だけど、俺はいつの間に自分の首を締めていた?
山田にとっては良いこと。
でも。…俺にとっては。
光くんと楽しげに話しながら部屋を出ていくいのちゃんを見つめ、記憶を一昨日の撮影の日に戻す。
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『ねえ、大ちゃん。大ちゃんって、山田のこと好きなんだ?』
みんなと話していたのに、突然俺を廊下に連れ出したいのちゃんは、_____俺が見たことのない不敵な笑みを浮かべてそんな事を聞いてきた。
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めい(プロフ) - 梓実さん» 梓実さん初めまして。コメント有難うございます!ええ、泣いちゃったところ!どこでしょう! 何考えているのか読めないミステリアスな雰囲気を出せたらなと思っていたので、その感想はとっても嬉しいです! お読み頂き有難うございました! (2020年10月20日 12時) (レス) id: 8807fc94fe (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - Kさん» Kさん、こちらこそコメント有難うございました!同担です〜よろしくお願いします!笑 お話の感想も有難うございます! (2020年10月20日 12時) (レス) id: 8807fc94fe (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - みつこさん» みつこさん初めまして。コメント有難うございます!とってもうれしい感想です〜泣 こちらこそ最後までお読みいただき有難うございました! (2020年10月20日 12時) (レス) id: 8807fc94fe (このIDを非表示/違反報告)
梓実(プロフ) - とっても面白い作品でした!!思わず泣いてしまうところがあって…あんなに泣いたのは久しぶりです笑一瞬伊野ちゃんが怖かったのですが、なんだか安心しました笑笑 今からもう一度読み直してこようと思います!素敵な作品を、ありがとうございました!! (2020年10月19日 21時) (レス) id: 56b32f15d6 (このIDを非表示/違反報告)
K - お返事頂けるなんて嬉しいです!正直同担なのが嬉しくて勢いで送ってしまっていたので笑お話とても面白かったです!ありがとうございました!! (2020年10月17日 19時) (レス) id: 30c662d0e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めい | 作成日時:2020年10月4日 19時