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確実に殺せると夜識は口角を上げた。トドメの一撃は当たらなかった。その場所だけ何かに守られた様だった。それに驚いたのは夜識だけではない。目を見開いたAの顔は次の瞬間には笑っていた。力が抜けたようにヘナヘナと尻を着く。
｢よく頑張った。｣
背中越しの声はいつもと変わらない。｢動ける？｣という質問に｢無理。｣と即答したAに男、五条悟はクツクツと笑う。五条の後から追うように戻って来た飯田をAは一瞥した。ここにいたら確実に先生の邪魔になるとAは分かっていた。
｢メガネ。｣
｢飯田天哉だ！｣
緩んだAの雰囲気に今度はすかさず突っ込みを入れる。
｢まだ走れる？｣
｢あ、あァ。｣
｢私も背負って？｣
｢あァ！｣
｢問題ないよ｣と視線を送れば五条も口角を上げる。他はもう片付いた様でヒーローは捕らえた敵を引き渡していた。呪術師も疲れたとその場に座り込み、治療を受けたりと様々である。捕らえた敵はどれも下っ端のようで肝心の連合は逃がしてしまった。
｢すまない…｣
飯田の力ない声がAの耳に届いた。
｢本当ならば君を置いていくべきじゃなかった。｣
Aの言った事とはいえ、ヒーローとして自分の行動は誤っていた。その思いからの謝罪だった。
｢メガネが五条先生を呼びに行ってくれてなかったら今頃この世に存在してないよ。｣
飯田の悔やんだその行動によってAは助かった。もし、あそこで飯田も一緒になって戦っていたとしたら、二人とも死んでいただろう。その事を言っても飯田は納得しないだろう。ましてや感謝など、今の飯田は素直に喜べないかもしれない。それでもAは知って欲しかった。飯田に。自分は一人の人間を救ったのだと。
｢ありがとう。助かったよ、ヒーロー。｣
その一言に引っ込んだと思った涙は再び顔を出す。｢あ、そうだ名前…｣と呟いたAに飯田は極めていつもの調子で答える。泣いてる事を悟られまいと気丈に振る舞う。自分はヒーローだから。
｢飯田天哉だ！！｣
力強い名乗りはAにキッパリと否定された。
｢そっちじゃない。｣
自分の名前は確かに飯田天哉。他に名前と言われたら一つだ。いつだかの時とは違って今なら綺麗な気持ちで名乗れる気がした。自分はまだこの名前に相応しくないが、いつか彼の様なヒーローになると、まだ青いヒーローは再び心に決める。
｢インゲニウム！！｣
その名に相応しくなってやる。
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くろいるか - んふふこの作品好きですねぇ、、この作品に出会えてよかったです！ (2022年8月24日 18時) (
レス) @page34 id: 7da9aef3db (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - 古参ですが何かさん» ありがとうございます！ふわっと終わりましたが、褒めていただけてとても嬉しいです！！ (2022年1月23日 11時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
古参ですが何か - 個人的に好きなところは、他のかたは漫画っぽい終わり方で、この作品はアニメっぽい終わり方で続きが自分で考えれて良いですね！私はキャラと付き合うとかの内容や、夢主が鈍感とか、キャラの分かりやすい好きアピールが苦手なのですが、落ちが無いところも好みです！ (2022年1月23日 5時) (レス) @page34 id: 465d9a763d (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - 青折り紙さん» わぁ！ありがとうございます！未熟者ですが、よろしくお願いします。 (2022年1月12日 18時) (レス) @page11 id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
青折り紙 - 雄英高校に入学する小説は結構見たことありますが、このタイプは見たことなくて感動してます〜文才あるの憧れます！応援してます。 (2022年1月12日 6時) (レス) @page11 id: 157c6e138f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千歳 | 作成日時：2022年1月9日 7時
