社内の日常 3 ページ4
「ふふ、くすぐったいンだ?可愛いねぇ」
ゆっくりと、Aの腰に自身の指を沿わせる。
太宰の指はどこか官能的な動きをしているが、Aはそんなことに気づくはずも無い。
『うぅ…、あの、太宰さん…!』
顔を真っ赤にして小さく困った声を出す。けれど彼女の優しさからきっぱりと拒否の意を示せないことを良いことに、太宰はAの耳元でそっと囁いた。
「やめてほしい?」
Aは脳に響く太宰の声にビクッと肩を跳ねさせる。
そして震えた声で
「や、やめて…、ほしいです…!」
と、訴えた。
「そうだなぁ、ん〜、じゃぁ私のこと“ご主人様♡”って呼んでよ!“ご主人様、お止めください”って言ってくれたらやめてあげる!はい、リピートアフターミー!」
やけに楽しそうで明るい声とは反対に、Aは「うぅ…」と顔を真っ赤にして唸る。
「ほらほら〜、言わないと止めてあげないよ?ほら、私のこと“ご主人様♡”って呼んで?」
太宰の言葉で恥ずかしそうに顔を染めるAを見て、乱歩はそろそろ面白くないと先ほどまでケーキを食んでいた口を止め、太宰に苦言を呈そうとし顔を上げたその時だった。
「止めんか馬鹿者!!!」
「アだぁッ!!?」
休憩スペースの後ろの仕事場から現れた国木田が思いきり太宰の頭を叩いた。
それはもう、綺麗な音が鳴るくらいに。
ざまあみろ、と乱歩は心の中で太宰にあっかんべーをしてあざ笑った。
「貴様ッ!太宰!!神聖な仕事場で何をしている!!」
国木田の怒号に隠れて、Aはピャッと太宰から距離を取った。(距離と言っても2人がけのソファでとれる距離などたかが知れているのだが)
「あぁん、Aちゃんが…。ちょっと国木田くんさぁ…、良いところだったのに」
「何が良いところか!貴様、恥を知れよ!」
Aを腕の中に閉じ込めておきたかった口惜しさにふてくされていた太宰だったが、何故か国木田も顔を真っ赤にしていることを見抜きいつものように国木田をからかい始める。
「あれぇ〜?なんで国木田くんまで顔真っ赤なのかなぁ?…、もしかして、国木田くんもAちゃんに“ご主人様♡”って呼ばれたかったの〜?いやぁ、さすが国木田くん!ムッツリだ!」
「太宰貴様ァ!!」
その言葉を皮切りに追いかけっこを始めた2人を、ただAは気の抜けたように見ているしか無かった。
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牧野江(プロフ) - 黄身麻呂さん» コメントありがとうございます。芥川のお話は特に書きたいものだったのでそう言っていただけるととても嬉しいです。主人公ちゃんに付きまとって勝手にメロメロな芥川、文字列だけでも最高です。書かせていただきます!ありがとうございます。 (2021年1月5日 19時) (レス) id: c6b47ba73e (このIDを非表示/違反報告)
黄身麻呂 - とてもクオリティが高いこの小説が大好きです!特に主人公を勝手に神格化する芥川が性癖に響いて「邂逅」は何度も読み返してます(笑)リクエストで、もし可能でしたらまた主人公に付き纏ってメロメロな芥川がみたいです!よろしくお願いします!! (2021年1月3日 0時) (レス) id: 1955a7e5f1 (このIDを非表示/違反報告)
牧野江(プロフ) - 紅月ミレーさん» 遅くなりまして申し訳ありません。自己満のためにこの話を書いているので自分の欲を優先してリクの話は書く事が遅れてしまうかも知れませんがそれでもよろしければリクエストも受け付けようと思います。ありがとうございます。 (2020年11月27日 13時) (レス) id: c6b47ba73e (このIDを非表示/違反報告)
紅月ミレー - すみません、リクは有りですか(´・ω・`)? 太宰治様に笑顔で呼ばれるシーンを何度も見てしまいます(*^□^*) (2020年10月8日 18時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
紅月ミレー - 牧野江さん» ありがとうございます(≧∇≦) 楽しみに待ってます(*^□^*) 今回も面白かったです、皆心配してたんですね(^ω^) (2020年9月16日 17時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:牧野江 | 作成日時:2020年8月30日 1時