【文スト】平凡愛され少女の手記

兄弟弟子 ページ29

休日の昼下がり、今日の昼餉は何にしようかと気ままにヨコハマの街を散策していたら

『あ』

「む？」
「あ〜、Aさん！」

国木田さんと賢治くんに出会いました。



『こんにちは。仕事中ですか？』
賢治くんがいるということは何か物騒な事件への聞き込みや調査だろうか。
そう思ったAは二人に尋ねる。

「はい！つい先程終わったところで！優しい人達が自供してくれたので早くお仕事が終わったんです！」
にっこりと笑う賢治にAは(あぁ、賢治くんのこの笑顔パワーで…)と察する。
賢治の隣に立つ国木田もどこか諦めたような顔でAの考えを肯定するように頷いた。

「でもお腹がすいちゃって…、これからお昼です！」
ひまわりのように大きな笑顔を見せる賢治くんは本当にお昼を楽しみにしていたんだなぁとAは微笑ましく思った。

『私もこれからお昼を食べようとしてご飯場所探してたんだ』
「そうなんですね！じゃぁ僕達と一緒に食べませんか？大勢でご飯を食べた方が美味しくなりますので！」
名案というように顔を輝かせる賢治の提案にAは顔を輝かせた。
『えっ、良いの？…良いですか、国木田さん？』
「何故俺の顔色を伺う。別に構わない。これから詰まった用事も特にないしな」
フッ、とAの生真面目さに国木田は柔らかく微笑む。
国木田は彼女のこういう所を美徳だと感じ好ましく思っていた。

「決まりですね！さぁ何処に行きましょうか。Aさん、食べたいものとかあります？」
『う〜ん。あっ、小籠包とか久し振りに食べたいな』
「それならあっちの方だ。賢治も其れで良いな？」
「はい！三人で食べるご飯、きっと美味しいですよ！」


道中、賢治が思い出したようにふと声を上げる。
「そういえば、国木田さんとAさんって兄弟弟子なんでしたよね」
『うん！私も国木田さんも師匠…、福沢社長に色々教えてもらったからね！』

えいやっ！と小さく構えの姿勢を取ってみせるAに、おぉー！と拍手をする賢治。
そんな二人の様子を見ていた国木田は(そんな事もあったな…)と昔を懐かしんでいた。

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